20150201
el 4.1
A table of contents
Motivate ----------
行動化促進
複合行動化
行動A/抑制
Cure ---------------
抑うつ対処
怒り対処
Relate -------------------
関係促進
他者への動機づけ
主張(アサーション)
拗れた関係の調性
正しい他者認識
______________________________ 行動化促進
[ Definition ]
・人間の情報の入力は、論理、知覚、表象による。
▼論理操作
・カラムの本質は「意味を尋ねること」。シニフィエを言語化し、問題を同定する。
・推論とは、すでにある情報(前提)から新しい情報(結論)を生み出すプロセスである。
▼表象操作
・目標表象が具体化することで、手段としての行動表象が具体化され、動機と行動化を促進する。
・目標表象となるための行動表象の条件の一つは、「終わり(ゴール)が存在すること」である。
・習癖のコントロールは、自分の習慣を「変えたい」という願望だけでは効果がない。「変えよう」という意志を前提とする。
・ペナルティコミット:行動A/に制限と罰をコミット、あるいは行動Aに期限と罰をコミットすること。行動化と非行動化のコストを操作する。
・スケジューリング:一定の時刻によって行動化を規則付けること。課題達成率を高め、フィードバックによって動機を高める。
・目標表象の形成:「ゴールとなる価値獲得」と「手段となる行動」を設定すること。
・特性概念の活性化は行動表象を活性化させる。行動記述文を思い出そうとすると、まず特性概念が活性化し、それが手がかりとなって関連する行動記述文の想起を助ける。
▼知覚操作
・具体的な機会と行為を事前に結びつけておく(たとえば、次に花を見たら、摘んでおこうという実行意図を形成する)と行為の実現可能性が高まる。
・構え(set)とは、特定の状況に対して一定の期待をしたり、一定の反応を準備したりして、「認知や反応の仕方に対してあらかじめ一定の方向性をもつこと」である。
・構えによって特定の認知/反応をしやすくなり、それ以外の認知/反応をしにくくなる。
▼環境操作
・行動分析のABCDE分析はそれぞれ、A(先行刺激)、B(行動)、C(強化子)、D(長期的結果)、E(確立操作)である。
・ABCDE分析におけるE(確立操作)は、D(長期的結果)の内容と一致させる。
・行動クラス:ABC分析において、機能が同じ行動をまとめたもの。
・行動A以外の可能的行動を排除できれば、行動A/を志向する自然発生的な価値推論は生じない。
・学校や会社からの帰宅時は、すでに疲れがたまっており、眠気は発症を控えている。帰宅時の安心感が引き金となる。覚醒を維持するには、帰宅前と同程度の緊張感のある動機の発生を必要とする。
・お菓子を強化子として成立させるためにお腹を空かせることは、環境操作的な確立操作である。
・習慣は、内的な環境である。例えば一定の起床時刻が習慣化していると、「それ以外の時刻に起床する」という行動化に必要な動機の量が増加する。
[ Method ]
▼カラム
・行動Aをすることのメリット/デメリット分析をカラムで行う。推論する価値は自我関与的なものや統制的なものは避け、自己の維持/発展を価値基準とする。
▼目標表象の形成
・遂行目標よりも学習目標を持つほうが、動機を維持しやすい。「作品を完成させること」ではなく「制作を通して勉強すること、楽しむこと」を目標とする。
・相対的目標でなく絶対的目標を使うほうが動機を維持しやすい。他人との順位を目標にすると、相手次第で自分の感情が左右されることになり、自律性を失う。
・課題の具体的な全体量の推定が、ゴールの設定となる。
・目標を分解してゴールから逆算したサブゴールを設定する。
・目標に資する行動表象の代替案を形成する。
・「5分だけ/一回だけ、やってみる」という目標表象は、行動化コストを引き下げる。
・「1時間で20回行う」より「3分で1回行う」のほうが近接性を高く、フィードバックを得やすい。
・「達成できるかできないか」くらいの難易度の目標表象を形成するために、期限と目標達成量を調節する。
▼コミット
・行動Aの達成にペナルティコミットする。
・デシ式コミット:行動Aに伴う不快や苦痛を進んで受け入れるコミット。苦痛に見合うだけの価値推論が必要である。
・コミットは有効期限の設定によって有効性を確立する。
・コミットは、それが守られることによるメリットを意識することで有効性を増す。
・コミットは、抑うつによって破綻しうるので、抑うつを避ける。
▼イメージ
・リハーサル思考:行動Aが必要な場面で行われているイメージ体験。実際の課題場面での行動化を円滑にする。
・運動野反復練習:予定時刻の起床において、予め寝る前に、起床直後の動きを反復練習することで、起床後にその行動が自動性をもって発生することを促進する。
・イメージ価値推論:行動化の状態と状況をイメージ体験して、そこにおける知覚的価値を体験すること。
・価値記号化:イメージ価値推論によって発見した価値を記号化(言語化、名付け、格言化)して記憶し、行動化が必要な場面でその記号を想起することで動機を発生させる。
・脱フュージョンし、行動にとって不要な思考を眺め、効果を抑制する。
・Sati:行動のスピードを低下させて、感覚に注意を当ててラベリングしながら、選択的注意で行動する技法。
・行動Aにおいて望ましい特性概念をイメージする。
▼行動分析と確立操作
・ABC分析において望ましいBをもたらすAを用意する。例:目につく場所にタスクを書いた紙を置くことで、さっさとタスクを達成してすっきりしたいという動機を生じる。また、タスクを目にする機会が増える。
・先行投資:資格試験や学校など、金銭の先行投資は、元を取ろうという動機を生じる。
・先行刺激の用意は、不可逆なものであるほど効果的である。
・行動予定表と達成表への記入は、強化子フィードバック構造となる。
・環境操作によって可能的行動を減らす。
・行動化コストを上げている要因を分析し、対処する。
______________________________ 複合行動化
[ Definition ]
▼複合行動化操作
・複合行動化操作:複数行動のそれぞれの目的を、一つの上位の目的に包摂し、複数行動の手段的価値を見出すこと。目標と行動表象選択の反復による連合強化によって統合し、一つの目標表象によって複数の行動表象が活性化するようになる。
・目標に対する手段の選択肢が少ないほど行動表象が活性化する。
・複数行動を複数の単一動機操作で操作するのは、目標表象の切り替えを多く要するので、失敗しやすい。また、目標表象間で互いに矛盾と干渉が生じうる。その結果、もっとも重要性が高いものとして選択された目標のみが、一定の期間において支配的に機能することになる。
・目標表象のシニフィエを十分にシニフィアン化するには、知識(語彙)と技能の充実を要する。
▼習慣行動化操作
・複数の目標が干渉しないようにそれぞれ動機操作するには、部分的な目標表象の形成によって、外部の刺激に強化子フィードバック構造を埋め込むことである。 例えば、PCに向かって課題を行っている期間を過ごしていたとしても、食事バランスシートのように「1日にとるべき食事の種類、その大まかな量」という「数値で表された価値」を提示されておけば、自然と食事のときに、その価値と、自分がそれにどれだけ近づけたかという「達成フィードバック」が生じ、フロー的動機が発生するようになる。
・習慣行動化操作:信念または環境に、強化子フィードバック構造(目標/行動表象の活性化構造)を存在せしめることで習慣行動を操作する。
[ Method ]
・ゴールの具体的状態をイメージ法で見る。そしてそれを”言語化”する。シニフィエ → シニフィアンの運動。このゴールの発見によって手段的行動化が促進される。芸術の創作に見られる方法。
・ゴールのイメージには、発想法やモチーフ展開などの補助的方略もある。芸術家にとっては「制限」(コンセプト、テーマ)が、インスピレーションを助ける。
・スケジュールという概念を作り、それをこなすことを上位目標として定める。
・達成フィードバックが自然発生するようになるまで、目標表象を強く学習する。
・タスクを複数列挙し、優先順位を与え、1から順に実行する際のアルゴリズムを決める。
・最も重要な目標表象と行動表象について、数分間のイメージ瞑想を行う。対象外の雑念はSatiする。複数の目標との関連から、とるべき行動の順序が見えてくる。
______________________________ 行動A/抑制
[ Definition ]
・行動化コスト:行動に付随する反価値、反興味。行動化コストは、行動の複雑さ、手順の不明瞭さ、飽きによる退屈さ、行動にかかる時間や労力である。 行動化コストが低いほど行動化が促進される。
・行動矯正において行動しながら断続的に注意できる事項は3~4程度である(ワーキングメモリ)。故に、動機操作、抑うつ対処、対人関係操作における有効なメソッドも3~4程度にまとめることで実践しやすくなる。
・行動A/のコスト増加の操作は、期限への危機感が動機となって引き起こされることが多い。
・生理的に効果のある栄養の摂取は、睡眠欲や疲労感などの行動化コストを低減しうる。
▼行動A阻害要因
・すべき思考:「~すべき」という考えは、自らにプレッシャーを感じさせ、このプレッシャーへの反発を生起させることで行動化を阻害する。
・課題の達成による達成感は娯楽行動を促進し、手段的行動化を阻害する。
・達成に繋がらない経験が連続すれば、動機は減少する。
・精神的および身体的な疲労は、娯楽への動機を高めたり、睡眠欲を増長する。
[ Method ]
・行動Aに強く動機づける。
・ABC分析を行い、先行刺激の構成部分(行動A/がゲームであれば、そのセーブデータ)を壊す。
・ABC分析を行い、行動A/を引き起こす誘因を環境操作で遠ざける。
・行動A/の反価値推論をする。
・自らの行動A/志向な思考を観察し、脱フュージョンする。
・「継ぎ目のない」という特性を先行刺激として与え、行動停滞を防ぐ。
▼誘因環境内での行動A/抑制
・認知すべきものだけを認知するための構え(set)を作る。
- 行動A/の誘因に近づくことのデメリットをカラムする。
- 構えを維持することのメリットをカラムする。
- リラクセーションを行い、認知の活性を低める。(儀式効果)
- Satiをしながら誘因環境内で行動Aをする。
- 有用な特性表象を刺激する文章を作り、それを指定公式として持念と留意を維持する。
- 内的状態を環境操作する。別の興味を認知する。そのための構えをとる。
______________________________ 抑うつ対処
[ Definition ]
・生理的な習慣(食習慣や起床時刻、運動習慣など)は、ストレスの発生を通じて、心的な習慣に影響を与えうる。
・反芻は「なぜ~になってしまったのだろう」を繰り返し、自己評価に対する脅威を見出す。
・統制的で完全主義的な目標は、達成の可能性において自己嫌悪を促進する。
・「動機が発生しないかぎり身体を動かせない」という信念は、行動停滞を発症する。
・大きな目標達成による目標表象の喪失と、目標の複雑度が高いことによる達成の喪失が長引くと、抑うつを発症する。
・反対給付できないときに金銭を一方的に贈与され続けることは、自尊心を低める。
・恋愛感情は自我関与を促進する。人によっては口唇期の絶対依存を再現しようとする。
・抑うつや対人不安は、心身症を発症しうる。胃に影響し、吐き気や乗り物酔いを発症させうる。
・分裂病の引き金体験は、性的ニュアンスの出来事、家庭からの出立、親との心理的葛藤、超越的経験である。再発の弱点は、色、金、名誉、健康の4つである。
・鏡像的他者への羨望(そこに自分が在る、という妄想)による抑うつや自尊心の欠如、自我関与を断ち切るには、自発的去勢を要する。
[ Method ]
・主体の維持/発展を価値基準とした上で、現実的に価値推論を行い、それに基いて行動する。
・問題の言語化と、その命題へのカラムを行う。
・強く行動Aを動機づけることで、否定的思考対象からの注意を移す。
・DMによって思考を色や重さを付して眺めることで、脱フュージョンし、反芻思考を止める。
・不安に対しては、失敗を犯した状況の価値推論を行う。その後、状況改善のための解決案を出す。
・失敗場面による抑うつに対しては、失敗場面で得たメリットを推論する。
・近接目標と強化子フィードバックによるスケジューリングに基いて生活し、悩む時間を減らす。
・遂行目標を捨てて学習目標を形成する。自律的で課題関与的な思考をとる。
・「幸せが見える」という指定公式のイメージは、幸せな感情が体験でき、前向きな動機を促進する。
・望ましい特性表象の指定公式で持念と留意を行う。
▼カラム
・カラム:問題となっている感情(恐れ、不安、怒りなど)を刺激するような認識を、断定口調で書きだす。願望や疑問を述べてはならない。
・矢印法:言語化した問題の命題に「仮にそうだとしてそれは何を意味するのか?」と質問し、暗黙の前提を明らかにする。
・反論カラム:意味抽出した文章をテーゼとして、アンチテーゼを立てて否定し、根拠づける。
・リフレーミング:問題となっている命題の意味を、言語の使い方と文脈をずらすことで肯定的な意味に変えること。
・カラムの価値記号化:カラムの後、そのプロセスで得た重要な論理を、自分に理解しやすい言葉を使って書き出し、感情を誘発する文章として十分に学習し、問題場面で想起しやすくすること。
・思考前提の導出:カラムで導出した命題の連結部分に「なぜ」と問いかける。「起きるべきだが、やる気が出せない」と悩むとき、「やる気が出ないなら、起きれない」という思考前提が隠れている。
・メタ認知:抑うつ的な反芻思考に機能している「反芻することが問題解決に繋がる」という潜在的信念。
・抑うつ状態に見られる非現実的推論(反論カラムの根拠として用いる)
- 二分法思考:(完全に)優れているか、(完全に)劣っているか、という極端な判断をする。
- 過度な一般化:1つの不快な出来事が、普遍的であり、これからも繰り返されると考える。
- 選択的抽象化:物事の悪い側面のみを抽き離して把握し、良い側面を捨象してしまう。
- 自己肯定の欠如:自己否定的信念が、自己肯定的事象を否定する。
- 軽蔑的他者の想像:他者の振る舞いに、自己否定的な意味を想像する。
- 自己否定的事象の予想:自己否定的事象が将来起こると予想する。
- 感情的推論:「私は罪悪感を感じているから、何か悪いことをしたのだ」という形式の推論。その感情を生じた解釈が正しかったかどうかは検討されず、感情を支持する結論に導く。
- すべき思考:「~すべき」という考え方に縛られる。すべき思考は統制的かつ自我関与的である。すべき思考は他者にも向けられ、怒りを促進する。
- 問題の個人化:他者の振る舞いや不幸な出来事について、自己にその責任を過剰に求める。
・過去のトラウマティックな経験を、1日15分間、4日連続で筆記する(筆記開示法)。筆記には状態の客観的把握によるセルフモニタリング効果、ストレスフルな刺激にさらされることでネガティブな感情とのつながりを消去するエクスポージャー効果がある。
▼イメージ
・マインドフルネス:思考は現実ではないことを理解して距離をとり、歓迎し、あるがままにしておく。
・DM:認知していることへの認知。概念的活動を止める。
・DBTアクセプタンス:「自分は変化しなければならない」と思っている時に、その段階でのありのままを受容する。
・ACTアクセプタンス:回避していた私的出来事をそのままにしておく。脱フュージョンによって可能となる。
・Sati:身体感覚と現在の心境の客観的言い当て(ラベリング)により、感情を鎮静させる。価値判断を止める。
・リラクセイション:筋弛緩をコントロールし、心的緊張を緩和させる。「手くび反屈」、「システム緊張・弛緩(腕系、脚系、躯幹系、全身)」などの訓練がある。
・メディテイション:瞑想性意識状態。イメージ法を成功させやすくする。「温感公式」、「システム温感」、「温感拡大」などの訓練がある。
▼自己教示
・逆説志向:恐れている状態を逆に志向することで、期待不安を解消し、それによって症状を抑える。
例えば、「人に会うとひどく汗をかくのではないか」と恐れている人に、「会う人々にできるだけ多くの汗をかいてみせるように」と助言すること。
・小さな人生脚本(ドライバー)に、反対のメッセージ「許可するもの」を使う。「完全であれ」「急げ」「強くあれ」「他人を喜ばせろ」「一生懸命やれ」を、「今のあなたで十分よい」「十分な時間をとれ」「自分の感情にあるがままで任せよ」「自分を喜ばせろ」「ただ、やれ」というように楽になるスローガンを上手く使う。これによって自己否定感と負け癖意識を減らす。
▼環境操作
・ABC分析を行い、望ましくない刺激を遠ざける。
・規則正しい睡眠、食事、運動により生理的ストレスを解消する。
・身体的な不快感(腹痛、吐き気、怠さ、寒さなど)は、リラクセイションやメディテイション、脱フュージョンである程度は緩和する。
▼葛藤の処理
・行動化の価値推論(メリット・デメリット分析)において導出した命題に配点して重みを付け、合計点の大小で選択する。
・葛藤のディレンマを言語化し、条件法導入によって解決する。
・合理的な選択のための意思決定過程モデル(情報収集 → 代替案の作製 → 代替案の選択 → フィードバック)を用いる。
・葛藤している行動を、行った場合と行わなかった場合のそれぞれのイメージ体験をし、その感じを味わい、どちらを選択すべきかを先方に任せるかのようにイメージを待つ。
______________________________ 怒りの調節
[ Definition ]
・怒りとは、「自己もしくは社会への、不当なもしくは故意による(と認知される)、物理的もしくは心理的な侵害に対する、自己防衛もしくは社会維持のために喚起された、心身の準備状態」である。
・怒りと抑うつは発生場面に共通性が見られ、一方から他方へ変化する可能性がある。抑うつを感じやすいスキーマは、怒りを生じやすい。
・怒り経験後、許している場合では、怒りを自責化し、合理化・原因究明・怒りの伝達などの行動が見られる。許していない場合では、怒りを肥大化し、社会的共有・逃避・回避・忘却などの行動が見られる。
・怒りの表情には知覚優位性があり、注意を引きやすい。
・怒りを受ける側は、怒る側よりも出来事を被害的に記憶する傾向がある。
・怒りが、怒りの原因を消す対処行動につながるなら、適応的といえる。
・自己主張性を送信スキル、場面把握を処理スキルとすると、送信スキルとしての怒りと処理スキルとしての怒りは矛盾する可能性がある。怒りを伝えるスキルだけでは、怒りの問題すべてには対処できない。
・生理的、物理的ストレスは怒りを増長する。
・自尊心の欠如は、他者への怒りを抑制する。
・他者の行動に対する偏った解釈は怒りを誘発する。
・他者の人生に踏み込んで「かくあるべき」と当為を当てはめるのは、自律性を放棄している。この考えは怒りを誘発する。
▼スティグマ
・ある特定の特徴がスティグマを生むのではなく、その特徴に対する周囲のステレオタイプな否定的反応との関係がスティグマという現象である。老一般が日本社会でスティグマになるのは、日本社会が老いの積極的意味をみいだしていないため、老いに対して周囲が否定的な反応しかできないことによる。大卒という属性も、おかれている集団によってスティグマになる。差異や有徴性はあらかじめ存在するのではなく、排除のために、そのつどあらたに発見され、つくられることもある。よってスティグマ(有徴性)は、ヴァルネラビリティ(攻撃誘引性)でもある。有徴な項が析出することによってはじめて、その他大勢が「普通」として定義される。
・何が「キモい」「ダサい」とされるかは集団によって異なる。
・スケープゴートの排除は集団に連帯感とカタルシスをもたらす。高エントロピーな集団ほど排除への動機は高まる。
[ Method ]
・怒りのコントロール目標として2段階を想定する。第一段階は、怒りがそのまま表出することを防ぎ、社会規範に沿った形で怒りを表現することを目標とする。第二段階は、生じた怒りを自分の中で解消することを目標とする。
▼怒り対処(第一段階)
・ストレッサーの特定と、その認知を減少させる対処を行う。騒音に対する耳栓、思考に対するSatiなど。
・呼吸法を行う(吸気3秒・呼気6秒を2分間)。脈拍を測ってフィードバックを受ける。呼吸法は毎日練習(最低4日間)することで、怒りの場面で使えるようになる。
・怒り対処の行動を、オペラント条件付け、行動形成(シェイピング)、過剰学習、般化、モデリングによって身につける。
・気晴らしと休養は怒りの増幅を止める。
▼怒り対処(第二段階)
・怒りと攻撃行動を抑制するには、攻撃に代わる方略をもって目標を達成する必要がある。
・何がどのように侵害されたか、怒りはどのような目標の達成に向かっているのか、を筆記する。そこで導出された文章をカラム的に分析する。
・怒りの対象に宛てて、自らの怒っている理由と要望を手紙形式で筆記する。
・相手の立場になって、相手の考えや希望に同情することで一面的解釈に反論する。
・感情にまかせて人と接するのではなく、目的の状態を推論し、その実現のための合理的態度を行動Aとする。
▼自律性支援
・自律性の支援は、選択を与えることと、与えられるべき結果を実行することである。他者を、自己を満足させるための対象としてではなく、一つの自律的なエージェントとして見なす。
・他者を統制しようとすると権力争いになる。
・患者の行動は彼ら自信の責任である。患者が進んで協力しなければ、医者は患者を治せない。患者には喫煙の権利があり、患者も医者も有害だと知っていても、もし煙草を吸い続けると患者が決めれば、その決断を尊重する必要がある。医者が助言者から支配者となることは、患者に属する責任を奪うことになる。
・統制は内発的動機を低め、抵抗を誘発する。
・健康な行動を統制することなく促進するには、”情報を提供”し、他者の視点から状況を理解できるようにオープンに話を聞き、「患者中心」の対応をして患者の自律性を支援することが重要である。
・管理者がストレスを感じていると、被管理者に対して放任的になったり、批判的になったりして虐待しやすくなる。欲求不満をそれと気づき認め、放任や攻撃を自律性支援や制限と偽って正当化してはならない。
・統制には、随伴的愛情や「すべきことをしなさい」というメッセージなどの手段が見られる。
・自我関与:自己に価値があると感じられるかどうかが、ある物事の結果に依存している結果志向的な状態。
▼怒り緩和のイメージ法
・まず最初に、リラックスする視覚イメージを2分ほど見る。
・相手をはっきりした「絵」として思い浮かべ、その人にとても良いことが起こったところを思い浮かべる。愛情、注目、お金などを、その人が受け取っている様子をよく見る。
・こちらが怒りを感じている状況を、相手の観点でイメージする。
・自分が相手になにか良いことをしてあげている様子を見る。
・相手が自分に何か良いことをしてくれている様子を見る。
・相手の好ましい特徴を思い浮かべる。
・自分が相手に、「二人の関係を大事にしたい」と言っている場面をイメージする。
______________________________ 関係促進
[ Definition ]
・協力的関係の発生と継続には、報酬的交換が必要である。
・負債的交換に人は敏感に反応して早く応酬をしようとする。
・反射:話し手のメッセージに含まれる主観的意味(感情など)を、聞き手のメッセージで返す行為。内的観点が他者に理解された感覚を話し手にもたらし、さらなる発言を促す。 例)妻 「もう、あなたなんか死んでしまえばいいんだわ」 夫 「僕に本当に腹を立てているんだね」
・開いた質問:話し手の内的観点の表出を助ける自由解答的な質問。これに対し、閉じた質問は二者択一か数個の選択肢のなかから答えさせ、外的観点からの理解を目指しており、話し手にとって報酬はない。 例)開いた質問「ジョンのこと、どう思う?」 閉じた質問「ジョンのこと、好き?」
・非言語メッセージの一致:言語メッセージに、音声、ボディ、タッチ、行動メッセージが一致していることが他者に確信を与える。音声メッセージは「声の大きさ、高さ、抑揚」に、ボディメッセージは「視線、表情、姿勢」に注意すること。
[ Method ]
・報酬を与える聞き方(反射、開いた質問、相槌)をする。
・相手に興味と関心をもつ。相手自身のことを話題にする。興味を示すボディメッセージを与える
・適度に自己開示する。
・自分自身のことを話すための話題を持つ。
・会話の流れ(話すー交代するー聞く の連続)を作る。
・会話のきっかけ作りをする。
・社会的スキルを高める。スキル概念を使って肯定的な例と否定的な例を分別し、スキル実行をリハーサルし、日常場面に般化する。また、実行の修正のための自己監視を行う。
▼浅い関係における安全な会話(きっかけ作り)
・自己論述:「やあ、私は~です」「ここに来るのは初めてなものですから緊張しています」
・何か申し出る:「何か飲み物はいかがですか」
・基本的情報の交換:「ここには何で来ましたか」「どんな分野のお仕事ですか」
・その場に関連したコメントと質問:「私はこういう天候が好きです。あなたは?」
・お世辞と質問:「あなたのドレス、本当に気に入ったわ。どこで手に入れましたか」
・メッセージの分類
- a. 情報開示 { ジョーク、自己開示 }
- b. 利益申出
- c. 自尊充足 { 反射、質問 }
・他者との会話をシミュレーションし、メッセージ分類に基いて、きっかけ作りとなる話題を列挙し、話題の発展の可能性とそのメッセージ分類を筆記する。
▼関係阻害要因の防止
・会話内容に対する指図、先導、判断、評価、非難をしない。
・相手の感情を受け入れ、「悲しむべきではない」「なぜ喜んでいるか分からない」と言わない。
・相手の話を遮って自分の話をしない。
・信用を維持する(約束を守る、秘密をばらさない)。
・2人のうち一方だけと仲良くしすぎない。
・ナルシシズムの誘惑にとらわれず、他者を気遣う会話を心がける。
______________________________ 他者への動機づけ
[ Definition ]
・肯定的指名の少なさ、否定的指名の多さが社会適応を低める。
・自己を受容できる程度が、他者を受容できる程度と相関する。
・他者への社会的スキル実行への動機づけがなければ、不適応的な振る舞いをしてしまい、それが他者からの拒否をもたらし、環境を悪化させ、抑うつを促進する。
・その動機が欠如しているときの思考は、「こんなやつと仲良く会話なんかしたくない」というものが多い。
・スティグマのある他者や、怒りを感じる他者に対しては、社会的スキル実行への動機が減退する。
▼拒否回避の動機
・自己提示:状況や相手との関係に応じて、話題の内容や振る舞い方、服装などを選択し、頼りがいある人物を演じたり、従順で控えめな人物を装うなどして、個人がさまざまなイメージを演出するのは、自己に対する他者の反応を望ましい方向へ誘導しようとするからである。
・他者に対して適切な印象をあたえることができない場面において対人不安は生じる。
・状況に応じた理想的な自己像と、現実の自己像が照合され、自己の修正作業が開始される。修正が困難な場合、逃避的行動が生じる。
・対人不安とは、他者の拒否的反応を導くような自己像を提示したことへの不安感である。
・ネガティブ評価の回避動機は、他者からのポジティブな評価を獲得しようとする動機とは別次元であり、その特性の強さは自己への評価に対する要求水準を高め、他者の行動の中に隠されている自己へのネガティブ評価を敏感に検出するようになる。拒否回避の動機が高い人は低い人に比べ、同じような他者の行動を見たとしても、そこに何らかの問題点を見つける可能性が高くなり、その分だけ不安も高まりやすい。
・対人不安傾向は「社会的スキルの欠如」と「拒否回避の動機づけの強さ」の二つの要因によって規定される。後者で社会的スキルが健在な場合、対人場面に留まって自己像を改善できるが、前者では自己提示が危機的状態に陥ったとき、対処法略が限定されているため、逃避行動が生じやすい。
・不安感そのものよりも、逃避傾向のほうが適応上の問題を生じさせやすい。
[ Method ]
・関係することの価値推論。
・特定他者についての私の認識を詳細にカラムする。
・協力的な目標表象を形成する。
・他者と仲良くしている場面をイメージする。
・特定他者に望ましくない感情を抱く原因としての先行刺激を解消する。
▼対人不安の解消
・自己の行動の評価は、他者の視点からではなく、技能的にみてどうかを基準にする。
・身だしなみを整えることは対人不安を抑制する。
・相手の欠点の発見や、相手が私に望むものの発見は、対人不安を抑制する。
・対人不安を誘発する他者と会話する前に、類似の他者かつ対人不安を誘発しない他者との会話をリハーサルイメージすることで対人不安が緩和する。
▼自尊心の回復
・自己についての価値推論。
・自己を勇気づけるセルフトークを増やす。
______________________________ 主張(アサーション)
[ Definition ]
・不安や緊張などのストレスは、社会的スキルの実行を妨害する。
・社会的スキル実行には、それに強化子を与える環境や、動機づけが必要である。
・アサーションの実行欠如はストレス場面を持続させる。主張しないなら、変化しないことの責任をもつ。
・「私」メッセージ:「私は」という言葉で始まるメッセージを使うことで、メッセージが個人の認識にすぎないことを強調でき、主張性が許容されやすくなる。
・「あなた」メッセージは、判断や評価、説教になりやすく、聞き手の怒りの引き金となりやすい。
・アサーティブな言動とは、正直に自分の思いを語り、しかも相手の思いを語るスペースを残しておくことである。また、言ってみることと言わないこと、どちらのリスクを引き受けるかを自分で選択することである。
▼依頼
・体面(face)の維持。消極的体面(自由、権利)と積極的体面(自己像の評価)がある。
・断り文句 → 理由説明 → 定型表現 の順が丁寧度が最も高い。(例:ごめんね、土曜日、都合が悪くなっちゃったんで、ちょっと日を変えてくれないかな?)
・聞き手のコストが大きいほど間接形(否定疑問形、願望形)の依頼が多用される。
・説得を成功させるには、相手に話をしてもらうこと。それが感情を発散させ、また、語りの中に穴を見つけ、新しい情報を取り入れる余地を生む。こちらから相手の考えに近づく必要がある。
[ Method ]
・間接的表現を用いることで、相手に自分の感情や意見を想像させることができる。しかし、その主張性は相手の恣意的解釈に依存する。
・隠喩や示唆的行動も間接的表現として機能する。
・社会的スキル発揮への動機が欠如している場合、それを行動Aとした動機づけ操作を行う(教示)。また、社会的スキル実行に報酬を与えるような環境に身を置くこと。
・反復的リハーサル訓練は、アサーションの実行を促進する。
・DESC法(台詞作りの技法)
D:問題の描写。
E:自分の気持ちの表現、相手の気持ちへの共感。
S:相手に変えてほしいと望む言動、解決案、妥協案の作成。
C:肯定的/否定的結果の予測と対応。
※DとEを分けること、Sは小さな行動変容に限ること、Cで必ずNOと言われた場合を想定しておくことが重要である。
例:「部屋が煙草の煙で満ちています (D)。 私は、煙で頭が痛くなって気分が悪くなりました (E)。 窓を開けて煙草を吸ってほしいのですが (S)。 そうすれば、集中して会議に参加できます (C)。」
▼依頼の成功要因
・遠回しに注意を与える。
・自分の誤りを話した後、相手に注意する。
・命令せず、意見を求める。
・顔を立てて、相手の自己評価を低めない。
・期待をかけ、わずかなことでも褒めて、能力に自信をもたせる。
・依頼された行動をとることが望ましくなる解釈を与える。喜んで強力させる。
・相手の考えや希望に対して同情をもつ。
・相手を高く評価している態度で接する。
・協力的な気持を前提とする
・「私」メッセージを使う:依頼の主体を自分自身に置く。
・肯定を使う:相手の肯定的側面についても言及し、こちらの依頼を和らげる。
・肯定的な依頼をする:して欲しくないことを言うよりも、して欲しいことを言う。
・できるだけ非攻撃的な言葉で表現する
・音声メッセージとボディメッセージに細心の注意を払う
・聞くスキルを使う
・圧力はできるだけかけない:圧力が大きいほど相手の抵抗を生み出す可能性が増える。
・相手の防衛的態度を処理する:
相手の否定的な反応の後、しばらく間を置いて、冷静かつ断固として再び依頼する
依頼を繰り返す前に、相手の感情を反射させてみる
お互いが受け入れられる解決策を求めて、交渉する
______________________________ 拗れた関係の調整
[ Definition ]
・対決:相手のメッセージの不一致や不合理な点を改善すること。「あなたは一方で~と言っておいて、他方では~」、「あなたは~と言うけれど、その根拠は何ですか」というように、話し手自身が自らと対決するよう手助けする。反射を用いながら、対決は最小限にとどめることが望ましい。
▼嘘
・もっともばれにくい類の嘘は、自分自身でそう信じているときの嘘や、相手が信じたがる嘘である。
・嘘は、うまくいったときには力をもたらすが、失敗した嘘は力を大きく減退させる。
・嘘は権力構造の維持に役立つ。権力に従う人間は、管理された情報によって支配される。対して権威ある社会組織(政府、宗教組織、企業など)は、従う者に嘘を禁じる道徳律を確立する。
・信頼とは他者がつねに真実を語るものと信じることではなく、他者が自分に危害を加えることを避けようとするはずだ、と信じることである。
▼解読コード
・コミュニケーションの現実的な意味を決定するのは「送り手の意図」ではなく「受け手の反応」である。
・受け手のもっている解読コードは、受け手が所属する「下位文化」に影響されている。
・例)「暴力のサブカルチャー」を学習した者の特徴
・直面した問題を暴力によって解決しようとする。
・他者がそう意図していなくても、注意したり怒鳴ったり悪者のラベリングをすることは、「挑戦」として受け取る。
・暴力は「挑戦」によって誘発されるが、暴力行為が現実化するのは、相手に勝てるかという合理的な判断と、相手や警察などの統制者からなされる反応を計算してからであることが多い。
▼攻撃
・構造的暴力:ある社会的グループに対して有害な結果をもたらす社会的条件のこと。
・暴力の機能的分類
- ① 嫌な場面を変えたり、避けるため
- ② 正の強化、すなわちある目標に到達すること
- ③ 不快な感情の発散
- ④ 葛藤の解決
- ⑤ 称賛の獲得
- ⑥ 文化的に「敵」とみなされるもの、すなわち尊敬に値しない外集団に所属する成員への攻撃
▼罰
・罰はいくつかの条件がそろったときには攻撃行動を抑制する。その条件とは以下のものである。
- ① 事前に与えられる罰が十分に嫌悪的でなければならない
- ② 罰が与えられる可能性は高くなければならない
- ③ 個人のネガティブな覚醒がその罰の強さや可能性の評価を妨げるほどには強くない
- ④ その状況において、行為者にとって他の魅力的な行動が選択できる
- ⑤ 実際の罰が攻撃行動に対して与えられることがわかるように、違反行為の直後に与えられること
・罰は反社会的行動を即座に抑制するかもしれないが、社会的問題に対処する別のやり方を用いた後にのみ、より永続的な行動修正が学習される。
・罰の反応はそれ自体が攻撃の例であり、攻撃の使用が有効であるというメッセージをもつ。罰は、望ましい行動に報酬を与えるのが第一の目的である道具的学習に向けたアプローチの一部でなければならない。
[ Method ]
▼攻撃的批判の対処
・反射
・分散:攻撃的な批判の一部を認めることで、批判の勢いを削ぐ。
・質問:反射か分散を用いた後、「私がしたことのどこがまずかったのか、もう少し詳しく言ってくれませんか」というように質問する。攻撃性を弱め、誤解を解く情報を得られる。しかし、自分の怒りの原因を具体的に尋ねられると、脅威を感じて怒りが増す人もいる。
・フィードバック:相手の批判を聞き入れる態度を示した後は、批判内容と批判の仕方について相手にフィードバックを与える。例えば「そんな刺々しい言い方で批判されると不愉快だな。僕が迎えに来るのが遅くなったのは、車がパンクしたからだ」など。相手はこちらを言い負かそうとすることがあるが、そのときは相手の感じ方を認めつつも、冷静に自分の立場を繰り返し述べること。
・延期:批判をいったん聞いておいて、後日、批判に対応するというやり方。
・他者の負債的交換に反応する前に、脱フュージョンする。
▼パワー・プレイの対処
・「相手がこちらの欲求を無視して操ろうとしている」という意図に気づき、対処方略を選択する。
・服従:相手の意図や操作に黙って従うこと。
・反撃:攻撃的になり相手との緊張を高め、反撃すること。
・主張:冷静に断固として自分の立場や状況を説明し、主張的になること。
・回避:相手が人を操ることに長けている場合、相手との関係から抜け出すこと。または権力的な第三者に仲介を依頼すること。
______________________________ 正しい他者認識
[ Definition ]
・文字だけの対話は、音声メッセージと身体メッセージが欠如しており、そこに恣意的な想像と推測が入り込む余地がある。
・相手が直接私に向けてではなく、間接的にメッセージを送ってくる場合、正誤のフィードバックが存在せず、恣意的な解釈を増幅する。
・他者認知の歪み:相手に対する情報不足や相手に対する不安は、恣意的情報の形成や否定的側面の強調という形で他者認知を歪める。「相手は~すべき」、「相手が私を怒らせる」などの信念や、非現実的な他者像への期待も、現実の認知を歪め、不安や怒りを促進する。
▼社会学的他者
・属性:資本の量、階層や文化、価値観、所属している内集団の特徴、など。
・属性の判断:見た目や振る舞いなどの印象から、相手の属性をステレオタイプ的に判断した後、自らの態度を決める。 多くの場合、この態度の良し悪しが、相互に返報される中で評価が決まる。 関係を改善するには情報交換を充実する必要がある。
・われわれの関係は、おたがいについての相互の知識にもとづいて発展し、さらにこの相互の知識は、事実上の関係にもとづいて発展する。
・役割現象:人は、「男として」「女として」「店員として」「患者として」他者を見る。相手を「店員として」見ると同時に、自分を「客として」見るというように、類型化は自他相互に生じる。
・アイデンティティ:自分が何者であるかを、自分に語って聞かせる逸話であり、その現実化において他者の承認を必要とするもの。 アイデンティティは特定の社会的文脈において承認される。
▼誤信
・何をもって仮説を支持する証拠とするか(基準)が厳密に決められていないかぎり、お気に入りの仮説を支持する証拠はいくらでも見つかる。
・もし夢に予言的な力があると信じていたとすると、夢で見たことが現実に起こった場合だけが、ひとつのできごととして心に刻まれる。これを一面性のできごとという。起こりうる結果が、どんなものにせよ同程度の感情を引き起こすなら、そのできごとは二面性である。
・人は何かを信じたいとき、「どんな証拠がこの信念を支持するか」を自問するが、その問いは注意を肯定的証拠に向けさせ、望む結論に反する情報から遠ざける。
・方略の有効性は、成功例が稀でも肯定されうるし、失敗例はもともと無理なことだったと解釈されうる。ある方略が有効でないことが分かるためには、他の方略に比べて成功率が低いことに気づかなければならない。他の方略が用いられることがないなら、自分の気に入った方略が間違っていることに気づくことはない。
・人は、重大な結果は重大な原因によって引き起こされたと予想しがちである。結果はその原因と類似しているはずだという代表性にもとづくヒューリスティクスが作用する。
・人は常に、物事が白黒はっきりしていることを好み、考えを過度に単純化しようとし、自分の信念に過剰な自信をもちたがる。また、自分の周囲で起こるすべてのことがらが制御可能なものであると考えがちである。まったくのランダムなデータの中に一定の構造や関連性を見つける傾向、起こらなかったことよりも起こったことばかりに注意が向く傾向、比較対照すべき状況を考慮せずに現在の状況で起こったことだけから結論を引き出す傾向がある。
・悪い噂が流れることによる実害は、噂に影響された他者から、報酬的態度が得難くなることである。よって自己の権力を下げる情報は開示しないほうがよい。
・論理的には信じるべきでないこと(他者の態度に関する予測、確信など)を、体感的に信じてしまっている状態においては、改めてカラムをすべきである。
[ Method ]
・他者の態度に対する認識を書き出し、事実と恣意的想像を分けるカラムを行う。
・客観的情報が必要な場面では、人が話す内容から主観的情報と二分法的表現を排除し、数値に直して表現するとよい。
▼誤信対処
・目前の証拠に気を取られず、「2×2分割表の他の3つの部分はどうなっているか?」と問う。目に見えないデータ、入手不能であったデータを考慮する。
・後づけの説明を抑えるために、「逆の結果だとしても信念が支持されたと解釈するか」「私と反対の信念をもつ人ならこの結果をどう解釈するか」と問う。
・人づての伝聞は、情報の発信源の信頼性と、そこから自分に届くまでの間にどれだけの歪みが混入している可能性があるかについて懐疑的に考えるべきである。
・自分の考えが本当に他人にも支持されているかを問い直すべきである。面と向かって反論されないことを同意の証拠と考えてはならない。
・どんなデータにも規則性を見つけがちであること、回帰現象を過小評価しがちであることが、偶然に過ぎない事柄を意味のあるものと判断してしまうことに繋がることを意識する。
▼歪んだ他者認知の改善
・自分が相手に期待している他者像を言語化し、それが非現実的でないか検討する。
・「相手は~すべき」、「相手が私を怒らせる」などの信念に反論する。
・情報を集める:相手にもっと興味をもって適切に質問し、相手に関する情報を拡充する。
・外的文脈の理解:相手の行動に影響を与えてきた過去の要因について知るようにする。家族や親戚からどんなルールや志向性を受け継いだか、関係の外側にある職場のストレスなどはないか、など。
・知覚の誤りを修正する:相手の否定的な行動を強調したり誇張していないか自問する。
・相手の知覚をチェックする:相手が自分自身の行動をどう見て、どう解釈しているか確認する。
・相手の立場になる:相手が争いやこちらの行動をどう見ているか、理解しようと努める。
・今までとは違った行動をする:人は一般に、否定的な行動には否定的に返し、肯定的行動には肯定的に返す。いままでと違った行動をとれば、自分の行動に原因があったかはっきりする。
・競争的態度を捨てる:勝ち負けのつもりでいると、相手を否定的に見る事に関心を持ってしまう。