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20150203

el 5.2 Lite



※ Lite版においては、普遍的効能をもつ技法のみを、運用容易性の観点からまとめている。熟練度を要する技法を省き、手間を最小限に抑えている。




▼ el 5.1 目次

 ・動機づけ操作
    ・行動化

 ・感情最適化
   ・抑うつ対処
   ・怒り対処
   ・緊張・不安対処
   ・感情操作全般

 ・対人関係技術
   ・関係促進
   ・関係調整
   ・ゲーム戦略操作 (対人葛藤対処)







______________________ 行動化

1.行動Aの理由を明言する

  ・行動Aのメリットを明言する。
  ・または行動A/のデメリットを明言する。
  ・最大限努力を引き出すために、最大限努力が実現した際のメリットを推論する。



2.目標表象の形成

 ・行動Aのゴールと達成までの道筋を描く。
 ・目標の達成に要する仕事量を、1日単位や1時間単位に細分化して把握する。
 ・目標表象が曖昧な場合は、ゴールの具体的状態をイメージ法で見て、それを言語化して書き出す。
 ・「達成できるかできないか」くらいの難易度の目標表象を形成する。期限と目標達成量を調節する。



3.行動表象の形成

 ・直近の行動Aの実行をイメージする。
 ・習慣行動化操作の場合、行動が必要となる状況をイメージして、必要となる行動を反復的に練習する。


4.行動化を促す環境操作をする

 ・行動Aを引き起こす先行刺激を用意する。
   例 ) 目につく場所にタスクを列挙した紙を置くことで、タスクを認知する頻度を上げて、タスクを達成することに動機づける。
 ・行動Aを引き起こす不可逆的な先行刺激を用意する。
 ・行動A以外の可能的行動を減らすように環境を操作する。
 ・ABC分析を行い、行動A/を引き起こす誘因を環境操作で遠ざける。



5.  サティ的ラベリングを行う

   ・実際の行動必要場面で、必要感をラベリングして、カラムの理由や目標表象を想起する。 ※ラベリングは注意を内的認知に固着させる副作用があるので、価値の明文化と目標の具体化を行なっていないなら、実践を意図すべきでない。
 ・行動A/に繋がる思考をDMする。





6. 一定時間後の予定行動の実行操作

・社会的な時間期限を内包する行動表象を作る。
・一定時間後の実行がしやすくなるよう、環境面、生理面を調整する。(例)予定した時刻に起床するなら、睡眠に良い栄養素を摂取したり、入浴によって睡眠の質を上げること等にも注意を払う。




7. 社会的情報の影響を利用する

・行動Aについての話題が豊富な人間、行動Aについて同じ指向性を持つ人間と関係する。
・行動Aについての具体的で新しい情報を認知する。






_______________________ 抑うつ対処


1.ATTを行い、注意の柔軟な制御を改善する

  ・聞こえている音に注意を集中し、一定時間後に別の音に注意を移動する訓練を行う。
  ・リラクセーションを行う。


2.思考に対してDMを行い、概念的処理を中断し、メタ的気づきを促進する

  ・トリガー思考を、その思考の外から眺める。
  ・自分の思考と自分の周囲で起きていることを同時に見る。
  ・トリガー思考を止めようとしない。多大な注意を払ったりコントロールしたり罰したりすることなく、あらゆるものをただ見続ける。
  ・ネガティブな反芻思考を止めることも選択できる、という意識を持つ。



3.トリガーとなっている思考に対してMCT問答法を行う

 ・MCT問答法
  a.  内的トリガーは何か?
  b.  続けて何を考えるか(どう反応するか)?
  b'.  { bを繰り返す }
    c.  あなたはどれくらいの時間そうしているのか?そうすることは何か利点があるか?
  d.  そうしないことは制御可能か? 他によりよい方法はないか?



4.トリガーとなっている思考に対してCBT問答法を行う

 ・CBT問答法
  a.  外的トリガーは何か?
    b.  それはあなたにとって何を意味するか?
    b'.  { bを繰り返す }
    c.  その根拠は何か?それは事実か?反証はないか?
  ・他者への妄想を注意して反証する。現実に起きたことのみを重視する。前向きな行動へと動機づけられるようなイメージを行う。



5.カラムで得た新しい認知的信念を、復唱し、実践する




6. 環境操作

  ・適度な睡眠をとる。
  ・適度に運動する。
  ・入浴する。
  ・栄養バランスの良い食事をとる。
  ・低血糖を予防する。砂糖の過剰摂取を避ける。
  ・カフェインの摂取を控える。
  ・コーピングする。 トリガー思考の原因となっている現実的な問題を特定し、環境要因を解決して適応するために対処行動を策定して実行する。
  ・気分転換に誰かと会話して笑い合う。
  ・希死念慮が生じる場合は、環境と生活を強く変える。



7. 自己嫌悪に備える

 ・鏡に向かって「お前はやれる、できる…」などと自己暗示する。片手を上げて「やるぞ」と声に出すなどして自己暗示する。







___________________ 怒り対処

1.ストレス低減行動をとる

 ・呼吸法を行う(吸気3秒・呼気6秒を2分間)。
 ・気晴らしと休養をとって怒りの増幅を止める。



2.カラムを行う

 ・何がどのように侵害されたかを筆記する。また、怒りの対象に宛てて、自らの怒っている理由と要望を手紙形式で筆記する。筆記された文章を分析して、誤った認知的信念と根本的なストレッサーを特定し、その対処に取り組む。
 ・他者の人生に踏み込んで「かくあるべき」と当為を当てはめることや、目標の成否の条件に他者の振る舞いを含めることは、怒りのトリガーを増やす。
 ・なんらかの失敗のストレスから、失敗の原因を他者に転嫁しようとする働きがある。この作用は怒りのトリガーを増やす。失敗しないための対処行動をすること及び成功することによって怒りが解決する。
  ・主張性の欠如は対処行動を抑圧し、怒りを増幅する。



3.現実的かつ適切な対処行動をとる

 ・ストレッサーを特定して、その認知を低減する。騒音に対する耳栓など。
 ・怒る必要がなかったり、問題解決にとって怒りが有用でないなら、怒りの対象との関係改善に働きかける。関係が悪化しているという認知的信念の消滅は、怒りのトリガーを低減する。
 ・怒りのトリガー事象に対して、対処行動をとる。
  ・空腹や課題の停滞などのストレスを出来る限り解消する。
  ・対人の怒りにおいては、主張性を発揮し、適切な依頼行動や他者動機づけを行う。





4.被害妄想を防ぐ

 ・見下し思考(およびそれに準ずる内的加害行為)を低いレベルのうちに抑制する。
 ・青魚、多種類の野菜、炭水化物を十分量摂取する。
  ・脚部を使った運動をする。
  ・妄想の反証経験を得るか、反証カラムを行う。
  ・行っている課題を終了させるか、気分転換を図る。
 





________________ 緊張・不安対処



  1.  自己の行動を他者の視点からではなく、自らの正しさの基準で評価する

  2.  リラクセーションを行う

  3.  DM、カラムを行う

  4.  リハーサルイメージとリハーサル行動(反復練習)を行う。これは、目標表象形成と戦略策定を促し、能力の拡充を経て緊張および不安を解消する現実的対処行動となる。






 


_______________ 感情操作全般


  1.  行動した場合としなかった場合のそれぞれが引き起こす未来の成功と失敗およびメリットとデメリットをイメージ体験する。これを行動Aへの動機が定着するまで繰り返し行う。  ※イメージの上手下手は生理的欲求を上下させ、行動の有無に影響する。


  2.  イメージ体験を文章化する。


 3.  身体的な不快感(腹痛、吐き気、怠さ、寒さなど)には、DMを行いつつ現実的な対処を行う。 



  4.  操作限界事態対処

  ・感情操作全般の操作限界となりうるのは、「体因性(身体的基盤のある精神障害)の問題感情」、「内因性(統合失調症、気分障害等)の問題感情」などがある。
  ・操作限界を超えている場合は、 操作技法が上手くいかず、注意を内的認知に固着させて苦痛を持続させかねない。この場合、他者に助けを求めたり、環境誘因に変化を求めて直感的に行動することが有効であることが多い。 環境の変化に限界がある場合は、リラクセーションによって耐えることが望ましい。











________________ 関係促進


0-1.対人不安に対処する

 ・自己の行動の評価は、他者の視点からではなく、対人関係技術的にみてどうかを基準にする。
 ・身だしなみを整えることは対人不安を抑制する。
 ・対人不安を誘発する他者と会話する前に、類似の他者かつ対人不安を誘発しない他者との会話をリハーサルイメージすることで対人不安が緩和する。
 ・関係についての自我関与的な認知的信念をカラムで正す。
 ・対人不安にDMをする。
 ・対人不安にMCTカラムをする。
 ・自己を受容できる程度が、他者を受容できる程度と相関する。
 ・他者に対して適切な印象をあたえることができない場面において対人不安は生じる。



0-2.他者と関係することに自己を動機づける

 ・劣等感をもたらす認知的信念を、カラムと現実的対処で正して、自尊心を確立する。
 ・「こんなやつと仲良く会話なんかしたくない」などという思考に対しては、その認知的信念をカラムする。
 ・負債的交換に人は敏感に反応して早く応酬をしようとする。



1.会話のきっかけを作る

 ・自己論述する。「やあ、私は~です」「ここに来るのは初めてなものですから緊張しています」
 ・何か申し出る。「何か飲み物はいかがですか」
 ・基本的情報を交換する。「ここには何で来ましたか」「どんな分野のお仕事ですか」
 ・その場に関連したコメントと質問をする。「私はこういう天候が好きです。あなたは?」
 ・お世辞と質問をする。「あなたのドレス、本当に気に入ったわ。どこで手に入れましたか」



2.報酬を与える聞き方(反射、開いた質問、相槌)をする

 ・反射:話し手のメッセージに含まれる主観的意味を、聞き手のメッセージで返す行為。共感とさらなる発言を促す。 例)妻 「もう、あなたなんか死んでしまえばいいんだわ」  夫 「僕に本当に腹を立てているんだね」
 ・開いた質問:話し手の内的観点の表出を助ける自由解答的な質問。これに対し、閉じた質問は二者択一か数個の選択肢の中から答えさせ、外的観点からの理解を目指しており、話し手にとって報酬はない。 例)開いた質問「ジョンのこと、どう思う?」 閉じた質問「ジョンのこと、好き?」



3.相手に興味と関心を示す非言語メッセージを与える

 ・非言語メッセージの一致:言語メッセージに、音声、ボディ、タッチ、行動メッセージが一致していることが他者に確信を与える。音声メッセージは「声の大きさ、高さ、抑揚」に、ボディメッセージは「視線、表情、姿勢」に注意すること。



4.会話の流れ(話すー交代するー聞く の連続)を作る

 ・会話内容に対する指図、先導、判断、評価、非難をしない。
 ・相手の話を遮って自分の話をしない。
 ・信用を維持する(約束を守る、秘密をばらさない)。
 ・2人のうち一方だけと仲良くしすぎない。
 ・自己愛にとらわれず、他者を気遣う会話を心がける。
  ・適度な自己開示をする。自分自身のことを話すための話題を持つ







________________ 関係調整

 0 .  自己の感情を整える

  ・抑うつ対処と怒り対処を行い、内的なストレスによる他者像の歪みを克服する。特に、抑うつ対処では、自尊心欠如による卑屈な態度や見捨てられ不安による媚びた態度を克服する。怒り対処では、妄想と内的ストレスによって過剰に敏感になった攻撃的な考えを克服する。




1.他者への認知を改善する

 ・相手に対する情報の不足は、恣意的情報の形成や否定的側面の強調という形で他者認知を歪める。非現実的な他者像への期待も、現実の認知を歪める。
 ・相手との情報交換を充実させ、互いの偏見を解く。相手に興味をもって適切に質問する。
 ・他者の態度に対する信念を書き出し、事実と恣意的想像を分けるカラムを行う。
 ・相手のメッセージの欠如とそれによる情報不足を考慮しつつ、相手についての恣意的な信念をカラムで正す。何をもって仮説を支持する証拠とするか(基準)を厳密に決めておく。
 ・カラムにおいて、目前の証拠に気を取られず、「2×2分割表の他の3つの部分はどうなっているか?」と問う。起こらなかったことよりも起こったことばかりに注意が向く傾向に気をつける。
 ・人づての伝聞は、自分に届くまでの間に歪みが混入している可能性に注意して聞く。
 ・自分の考えが本当に他人にも支持されているかを問い直す。面と向かって反論されないことは同意の証拠ではない。
 ・自分が相手に期待している他者像を書き出し、それが非現実的でないか検討する。
 ・外的文脈を理解する。相手の行動に影響を与えてきた過去の要因、家族からどんなルールや志向性を受け継いだか、関係の外側にある職場のストレスなどはないか、など。
 ・相手の立場になる。相手がこちらの行動をどう見ているかを理解しようと努める。




2.関係を自律性支援的な関係にする

 ・自律性の支援は、選択を与えることと、与えられるべき結果を実行することである。
 ・他者を統制しようとすると権力争いになる。統制は内発的動機を低め、抵抗を誘発する。
 ・他者を、自己を満足させるための対象としてではなく、一つの自律的なエージェントとして見なす。選択をさせ、結果に責任をとらせる。
 ・望ましい行動を統制することなく促進する。情報を提供し、他者の視点から状況を理解できるようにオープンに話を聞き、「他者中心」の対応をして自律性を支援する。
 ・統制を避ける。統制には、随伴的愛情や「すべきことをしなさい」というメッセージが見られる。




3.他者を望ましい方向に動機づける

 ・コンプリメント(ほめること)は、拒絶性スタイルを緩和し、自信をもたせ、行動を強化する。直接的コンプリメントより間接的コンプリメントのほうが効果が高い。
 ・事実に基いて(間接的に)褒める。事実に基づいていない「おだて」は、警戒心を抱かせるので避ける。
 ・望ましくない行動には、好子を与えず嫌子を与える。ただし統制を感じさせると内発的動機を減じ、反発を招きうるので、主張性の発揮によってこれを実現する。また、望ましい行動の変化には感謝や報酬を示して好子を与える。
 ・動機づけ面接の技術を使う
   a.  変化についての語りを引き出す質問する。「どのような変化が起きてほしいですか?」「どのように変わりたいですか?」など。他に、変化の利害得失、最悪の事態、問題がなかった頃のこと、将来の見通し、人生の価値や目標などについて質問し、考えさせる。
    b.  開かれた質問をして、相手の思考・感情・認知を明確に理解する。「具体的には?」「もう少し詳しく言うと?」など。
    c.  変わる方向の言葉や話を取り上げ、認めて褒める。自信を与え、変わる勇気を持たせる。
    d.  相手の変化についての話を要約して繰り返す。会話の終わりでは方向付けに役立つ言葉をまとめて返す。




4.主張性を発揮する

 ・「私は」という言葉で始まるメッセージを使う。「あなた」メッセージは、判断や評価、説教になりやすく、聞き手の怒りの引き金となりやすいので避ける。
 ・自分の思いを語り、かつ相手の思いを語るスペースを残しておく。
 ・これらのアサーションの実行をリハーサル思考で十分に訓練しておく。 動機づけは行動化の項を参照する。




5.依頼する

 ・体面(face)には消極的体面(自由、権利)と積極的体面(自己像の評価)がある。
 ・依頼の際、相手の体面を維持する。相手を高く評価している態度を示す、自分の誤りを話した後に相手を注意する、遠回しに注意する、相手の肯定的側面についても言及する、など。ただし、遠回しに注意や依頼をするとき、対象の置き換えなどを使って不満を述べる方法は、相手に伝われば怒りを誘発し、伝わらなければ行動の変化はない。 やり方に注意すること。 何が嫌なのかを遠回しに主張する形式をとったほうが良い。
 ・DESC法(台詞作りの技法)
   D:問題の描写。
   E:自分の気持ちの表現、相手の気持ちへの共感。
   S:相手に変えてほしいと望む言動、解決案、妥協案の作成。
   C:肯定的/否定的結果の予測と対応。
  ※DとEを分けること、Sは小さな行動変容に限ること、Cで必ずNOと言われた場合を想定しておくことに注意する。
  例 ) 「部屋が煙草の煙で満ちています (D)。 私は、煙で頭が痛くなって気分が悪くなりました (E)。 窓を開けて煙草を吸ってほしいのですが (S)。 そうすれば、集中して会議に参加できます (C)。」
 ・依頼された行動をとることが望ましくなる解釈を与える。喜んで強力させる。
 ・協力的な気持を前提とする。
 ・相手の防衛的態度を処理する
   a. 相手の否定的な反応の後、しばらく間を置いて、冷静かつ断固として再び依頼する。
   b. 依頼を繰り返す前に、相手の感情を反射する。
   c. お互いが受け入れられる解決策を求めて、交渉する。
 ・説得を成功させるために、相手に話をしてもらう。それが感情を発散させ、また、語りの中に穴を見つけ、新しい情報を取り入れる余地を生む。こちらから相手の考えに近づく必要がある。
  ・ノンバーバルなメッセージに気をつける。
  ・報酬を与え、相手が依頼を受け入れやすい雰囲気を作る。



6.攻撃に備える

 ・反射を行う。
 ・攻撃的な批判の一部を認めることで、批判の勢いを削ぐ(分散)。
 ・反射か分散を用いた後、「私がしたことのどこがまずかったのか、もう少し詳しく言ってくれませんか」というように質問する。攻撃性を弱め、誤解を解く情報を得られる。
 ・相手の批判を聞き入れる態度を示した後、批判内容と批判の仕方について相手にフィードバックを与える。例えば「そんな刺々しい言い方で批判されると不愉快だな。僕が迎えに来るのが遅くなったのは、車がパンクしたからだ」など。相手はこちらを言い負かそうとすることがあるが、そのときは相手の感じ方を認めつつも、冷静に自分の立場を繰り返し述べる。
 ・批判をいったん聞いておいて、後日、批判に対応する(延期)。
 ・「相手がこちらの欲求を無視して操ろうとしている」という意図に気づいたら、パワープレイと見なし、主張(冷静に自分の立場や状況を説明する)、回避(相手との関係から抜け出す)、反撃、服従のいずれかの対処方略を選択する。



7.他者への感情を最適化するイメージ法

 ・まず最初に、リラックスする視覚イメージを2分ほど見る。
 ・相手をはっきりした「絵」として思い浮かべ、その人にとても良いことが起こったところを思い浮かべる。愛情、注目、お金などを、その人が受け取っている様子をよく見る。
 ・こちらの相手に対する態度を、相手の観点でイメージする。
 ・自分が相手になにか良いことをしてあげている様子を見る。
 ・相手が自分に何か良いことをしてくれている様子を見る。
 ・相手の好ましい特徴を思い浮かべる。
 ・自分が相手に、「二人の関係を大事にしたい」と言っている場面をイメージする。




8.正しい交換をする

 ・正しい行為とは、脱人称的に普遍化可能な行為である。
 ・正義は等価交換の等価性のことである。
 ・情報が共有されてこそ、等価交換としての正義が成り立つ。
 ・依頼が、脱人称的に普遍化可能な、等価な交換となるようにする。相互に重要でない自由を放棄することで重要な自由を獲得できる形にする。









________________ ゲーム戦略操作 (対人葛藤対処)


1.ゲームを分析する
  ・ゲームの選択主体、戦略、利得をそれぞれ明らかにする。
  ・支配戦略、最適反応戦略、ナッシュ均衡を探す。
  ・戦略形ゲームの解はナッシュ均衡。展開形ゲームの解はバックワードインダクションで求める先読み解。
  ・起こりうる結果のそれぞれに選択主体が得られる利得を列挙して配点する。そして、望ましくない形のナッシュ均衡をもたらす利得表になっていたなら、自分の行動または決心を変えることによる利得の変動を書く。いくつかの利得変動シミュレーションの中で総合的に最も多くの利得をもたらすものがあれば、それを実現するために、前提となっている行動または決心の変化を実現させる。



2.戦略を実行する
  ・自分が何か行動を迷っているとき、自分の行動 x , y それぞれに対する相手の反応行動 x , y を想定し、それぞれの結果の利得を相手の立場で考え、バックワードインダクションによって取るべき行動を決める。
  ・ 相手が同時に反応行動をとってくる戦略形ゲームなら、相手の立場になって自分の行動選択と相手の行動選択の組み合わせを列挙し、利得表を作り、支配戦略を採る。



3. 補助的な技法でゲームの形を調整する
  ・シグナリングして相手に属性を知らせる。シグナリングは相手が価値を読み取れるもので行う。
  ・スクリーニングを仕掛けて相手の属性を読み取る。
  ・インセンティブを操作して相手の行動を変える。人の主なインセンティブは金・物、法律、慣習・宗教などである。
  ・行動の結果が隠蔽されているとモラルハザードが起きるので、両者から見える基準を設定する。
  ・コミットメントで展開形ゲームの結果(ナッシュ均衡、先読み解)に変化を与える。
  ・情報の非対称性による逆選択を防ぐために信用を高める。第三者に保証してもらったり、リスクを複数に分散させる仕組みをとったり、ブランドを築いて信用を維持することへのインセンティブを存在させることで信用を実現する。
  ・スイッチングコストが見込める場面では、本来よりこちらの利得を低めてでも望ましい結果を選択してもらうことで、長期的利得を拡大できる。




4.競争関係では相手にこちらの手の内を読ませない
  ・混合戦略 : 「確率的に戦略を選ぶ」という戦略。
  ・混合戦略を用いるときは、相手に勝たせないような確率を考える。また、自分に強みがあるときは、強みではない方の戦略の確率を上昇させる。もちろん他の戦略も悟られないようにランダムに出す。
  ・交渉においては、交渉の基準点がどこにあるかを考える。
  ・交渉決裂したときの利得が小さいほど交渉力は弱くなる。
  ・先手を取って相手の可能性を狭めることで利得を高められる場合がある。
  ・常に相手の選択と同じ又は異なる選択で勝てる場合、後手のほうが有利である。





20150202

el 5.2






▼ elの運用プラン

   ・elは、不合理な感情の操作的改善を目的として運用する。elには操作限界が存在するが、操作可能範囲内で最良の状態を築き上げることを目的として運用する。
   ・elの参照と運用を継続すること。elのアップデートは運用によるフィードバックを重用する。




▼ el 5.1 目次

 ・動機づけ操作
    ・行動化

 ・感情最適化
   ・抑うつ対処
   ・怒り対処
   ・緊張・不安対処
   ・感情操作全般

 ・対人関係技術
   ・関係促進
   ・関係調整
   ・ゲーム戦略操作





______________________________ 行動化

 行動化のモデル

 ・人間はすでにある情報にもとづいて行動する。新しい情報は論理、表象、経験、環境の操作によって入力できる。
  ・行動化の操作条件は「抑うつを解決していること」。操作限界を持ちうるのは「主体の価値判断」、「現在の体調と生理的欲求」、「現在の環境誘因」など。



 行動化の実行プラン


1.行動Aの理由(メリット)をカラムによって導出する
2.行動Aのゴールと達成までの道筋を詳細に描き、目標表象を具体化する
3.行動Aの達成予定表を作成し、達成することにコミットする
4.行動Aの不達成に対する罰をコミットする
5.行動Aのリハーサル思考をイメージして、行動化が必要となる状況に反応するための準備をする
6.行動Aの達成を記録する(フィードバックと強化子)
7.行動化を促す環境操作をする
8.行動A/を抑制する
9.望ましくない感情や思考に対してDMを行う
10.  実際の行動必要場面で、必要感をラベリングして、カラムの理由や目標表象を想起する。 ※ラベリングは注意を内的認知に固着させる副作用があるので、価値の明文化と目標の具体化を行なっていないなら、実践を意図すべきでない。



 ▼動機づけカラム

 ・行動化のメリットを推論する際、自我関与的なメリットや統制的なメリットは避け、自己の維持と発展を価値基準とするメリットを推論する。
 ・行動化を妨げている両価性を分析して、行動化のデメリットを解決する。
 ・行動化のメリットとデメリットのそれぞれに点数を付けて、合計点の大小で行動を選択する。
  ・行動化を妨げるトリガー思考を書き出し、反論する。


 ▼目標表象形成

 ・目標の達成に要する仕事量を、1日単位や1時間単位に細分化して把握する。
 ・目標表象が曖昧な場合は、ゴールの具体的状態をイメージ法で見て、それを言語化して書き出す。
 ・遂行目標ではなく学習目標を持つ。例えば、「作品を完成させること」ではなく「制作を通して勉強すること、楽しむこと」を目標とする。
 ・相対的目標ではなく絶対的目標を持つ。相手次第で自分の感情が左右されることは、自律性を失うので避ける。
 ・「達成できるかできないか」くらいの難易度の目標表象を形成する。期限と目標達成量を調節する。
  ・嫌子や手間をできる限り排除した行動表象を策定し、行動Aを目的に対してスマート化する。


 ▼構え形成

 ・直近の行動Aを行っている場面をイメージして、具体的な行動表象を形成する。
 ・行動化が必要となる状況をイメージして、必要となる行動を反復的に練習する。



 ▼コミット

 ・行動Aに伴う不快や苦痛などのデメリットを進んで受け入れることをコミットする。
 ・コミットが守られることによるメリットをイメージする。
 ・コミットには有効期限を設定する。
 ・コミットは、抑うつによって破綻しうるので、抑うつを避ける。



 ▼環境操作

 ・行動Aを引き起こす先行刺激を用意する。
   例 ) 目につく場所にタスクを列挙した紙を置くことで、タスクを認知する頻度を上げて、タスクを達成することに動機づける。
 ・行動Aを引き起こす不可逆的な先行刺激を用意する。
 ・行動A以外の可能的行動を減らすように環境を操作する。



 ▼行動A/抑制

 ・ABC分析を行い、行動A/を引き起こす誘因を環境操作で遠ざける。
 ・行動A/のデメリットをカラムで明確にする。
 ・行動A/に繋がる思考をDMする。


  ◆発展技法

   ・最大限努力を引き出すために、最大限努力が実現した際のメリットを推論する。
   ・目標表象を形成した後は、ATTとDMだけで直感的に行動する。



______________________________ 抑うつ対処

 抑うつ対処のモデル

 ・食事、睡眠、運動の習慣は、心的な習慣に影響を与える。1週間平均7時間の睡眠が最もうつ病にかかりにくい。
 ・誤ったメタ認知的信念は、自己への固着化した注意と対処反応を生み、ネガティブな感情的経験を持続させる。感情的反応を維持する役に立たない考え方のスタイルをCASと呼ぶ。CASは、心配と反芻、脅威の監視、役に立たない思考制御方略と、適応的学習を妨げる回避行動から構成される。
 ・鏡像的他者への羨望によって低められた自尊心とそれによる抑うつを断ち切るには、自発的去勢を要する。自己の現状を受け入れ、自己を価値基準として考えることで、自尊心を回復する。



 抑うつ対処の実行プラン

1.ATTを行い、注意の柔軟な制御を改善する
2.思考に対してDMを行い、概念的処理を中断し、メタ的気づきを促進する
3.トリガーとなっている思考に対してMCT問答法を行う
4.トリガーとなっている思考に対してCBT問答法を行う
5.カラムで得た新しい認知的信念を、十分に学習して、問題場面に適用する



 ▼DMの心理的要素

 ・メタ的気づき(思考への意識)
 ・認知的脱中心化(事実とは区別された出来事として思考を理解する)
 ・距離を置く注意の向け方と注意制御(注意が柔軟性を保ち、どんな1つのことにも留まらないこと)
 ・弱い概念的処理(低水準の意味を知ることに基づいた分析や内言)
 ・弱い目標志向的対処(誤った脅威を回避したり排除したりするための行動や目標は実行しない)
 ・変化した自己意識(思考と信念から独立した観察者という特異な自己意識の経験)
  ・トリガー思考を、その思考の外から眺める。
  ・自分の思考と自分の周囲で起きていることを同時に見る。
  ・トリガー思考を止めようとしない。多大な注意を払ったりコントロールしたり罰したりすることなく、あらゆるものをただ見続ける。


 ▼MCT問答法

  a.  内的トリガーは何か?
  b.  続けて何を考えるか(どう反応するか)?
  b'.  { bを繰り返す }
    c.  あなたはどれくらいの時間そうしているのか?
  d.  そうしないことは制御可能か?(ネガティブなメタ認知的信念への取り組み)
  d'.  反証はないか? ATTとDMをせよ
  e.  そうすることは何か利点があるか?(ポジティブなメタ認知的信念への取り組み)
  e'.  それは事実か?反証はないか?他によりよい方法はないか?


 ▼CBT問答法

  a.  外的トリガーは何か?
    b.  それはあなたにとって何を意味するか?
    b'.  { bを繰り返す }
    c.  その根拠は何か?それは事実か?反証はないか?



  ▼環境操作

 ・規則正しい睡眠、食事、運動により生理的ストレスを解消する。
 ・身体的な不快感(腹痛、吐き気、怠さ、寒さなど)には、DMを行いつつ現実的な対処を行う。 
  ・コーピングする。 トリガー思考の原因となっている現実的な問題を特定し、環境要因を解決して適応するために対処行動を策定して実行する。


  ◆発展技法

  ・他者への妄想を注意して反証する。現実に起きたことのみを重視する。前向きな行動へと動機づけられるようなイメージを行う。
  ・気分転換に誰かと会話して笑い合う。



______________________________ 怒り対処


 怒り対処のモデル

 ・怒りは、自己への不当な侵害に対して自己防衛のために喚起される。
 ・怒りと抑うつは一方から他方へと変化する場合がある。
 ・生理的および物理的ストレッサーは怒りのトリガーとなるが、認知的信念によってはそうならない場合がある。
 ・他者の行動に対するバイアスのかかった解釈は、怒りの原因となるが、怒りの結果でもある。そういった解釈の一つ一つを反証していくことよりも、怒りの核心となっている認知的信念に取り組む必要がある。
 ・他者の人生に踏み込んで「かくあるべき」と当為を当てはめることや、目標の成否の条件に他者の振る舞いを含めることは、怒りのトリガーを増やす。
 ・なんらかの失敗のストレスから、失敗の原因を他者に転嫁しようとする働きがある。この作用は怒りのトリガーを増やす。失敗しないための対処行動をすること及び成功することによって怒りが解決する。
  ・主張性の欠如は対処行動を抑圧し、怒りを増幅する。



 怒り対処の実行プラン

1.怒りがそのまま非理性的に表出することを防ぐために、ストレス低減行動をとる
2.怒りを合理的に解釈するために、怒り対処のカラムを行う
3.現実的かつ適切な対処行動をとる



 ▼ストレス低減行動

 ・怒りのトリガーとなる思考に対してDMする。
 ・ストレッサーを特定して、その認知を低減する。騒音に対する耳栓など。
 ・呼吸法を行う(吸気3秒・呼気6秒を2分間)。
 ・気晴らしと休養をとって怒りの増幅を止める。


 ▼怒り対処のカラム

 ・何がどのように侵害されたか、怒りはどのような目標の達成に向かっているのか、を筆記する。また、怒りの対象に宛てて、自らの怒っている理由と要望を手紙形式で筆記する。筆記された文章を分析して、誤った認知的信念と根本的なストレッサーを特定し、その対処に取り組む。


 ▼現実的対処行動

 ・怒る必要がなかったり、問題解決にとって怒りが有用でないなら、怒りの対象との関係改善に働きかける。関係が悪化しているという認知的信念の消滅は、怒りのトリガーを低減する。
 ・怒りのトリガー事象に対して、対処行動をとる。
  ・空腹や課題の停滞などのストレスを出来る限り解消する。
  ・対人の怒りにおいては、主張性を発揮し、適切な依頼行動や他者動機づけを行う。






______________________________ 緊張・不安対処

  ・自己の行動を他者の視点からではなく、自らの正しさの基準で評価する。
  ・リラクセーションを行う。
  ・DM、カラムを行う。
  ・リハーサルイメージとリハーサル行動(反復練習)を行う。これは、目標表象形成と戦略策定を促し、能力の拡充を経て緊張および不安を解消する現実的対処行動となる。





______________________________ 感情操作全般
 [モデル]

  ・感情のままに行動するのではなく、それを制御したほうが成功する場面は多い。ギャンブル、犯罪、恋愛など。
  ・短期的な勝ちのための行動による長期的な負けを避けるには感情操作が必要である。
  ・イメージの上手下手は生理的欲求を上下させ、行動の有無に影響する。
  ・感情操作全般の操作限界となりうるのは、「体因性(身体的基盤のある精神障害)の問題感情」、「内因性(統合失調症、気分障害等)の問題感情」などがある。
  ・操作限界を超えている場合は、 操作技法が上手くいかず、注意を内的認知に固着させて苦痛を持続させかねない。この場合、他者に助けを求めたり、環境誘因に変化を求めて直感的に行動することが有効であることが多い。 環境の変化に限界がある場合は、リラクセーションによって耐えることが望ましい。



 [プラン]

  ・行動した場合としなかった場合のそれぞれが引き起こす未来の成功と失敗およびメリットとデメリットをイメージ体験する。これを行動Aへの動機が定着するまで繰り返し行う。
  ・イメージ体験を文章化する。










______________________________ 関係促進

 関係促進のモデル

 ・協力的関係の発生と継続には、報酬的交換が必要である。
 ・負債的交換に人は敏感に反応して早く応酬をしようとする。
 ・自己を受容できる程度が、他者を受容できる程度と相関する。
 ・他者に対して適切な印象をあたえることができない場面において対人不安は生じる。
 ・他者からのネガティブ評価を回避しようとする動機は、ポジティブな評価を獲得しようとする動機とは別次元であり、その特性の強さは自己への評価に対する要求水準を高め、他者の行動の中に隠されている自己へのネガティブ評価を敏感に検出するようになる。



 関係促進の実行プラン

1.会話をする。会話のきっかけ作りをする
2.報酬を与える聞き方(反射、開いた質問、相槌)をする
3.相手に興味と関心をもつ。興味を示す非言語メッセージを与える
4.適度な自己開示をする。自分自身のことを話すための話題を持つ
5.会話の流れ(話すー交代するー聞く の連続)を作る
6.他者と関係することに自己を動機づける
7.対人不安に対処する



  ▼会話のきっかけ作り

 ・自己論述する。「やあ、私は~です」「ここに来るのは初めてなものですから緊張しています」
 ・何か申し出る。「何か飲み物はいかがですか」
 ・基本的情報を交換する。「ここには何で来ましたか」「どんな分野のお仕事ですか」
 ・その場に関連したコメントと質問をする。「私はこういう天候が好きです。あなたは?」
 ・お世辞と質問をする。「あなたのドレス、本当に気に入ったわ。どこで手に入れましたか」
 ・メッセージ分類に基いて、他者との会話をシミュレーションする。
   a.  情報開示 { 自己開示する、冗談を言う }
   b.  利益申出 { 相手を気遣う }
   c.  自尊充足 { 開いた質問をする、反射する }



 ▼聞き手の技法

 ・反射:話し手のメッセージに含まれる主観的意味を、聞き手のメッセージで返す行為。共感とさらなる発言を促す。 例)妻 「もう、あなたなんか死んでしまえばいいんだわ」  夫 「僕に本当に腹を立てているんだね」
 ・開いた質問:話し手の内的観点の表出を助ける自由解答的な質問。これに対し、閉じた質問は二者択一か数個の選択肢の中から答えさせ、外的観点からの理解を目指しており、話し手にとって報酬はない。 例)開いた質問「ジョンのこと、どう思う?」 閉じた質問「ジョンのこと、好き?」
 ・非言語メッセージの一致:言語メッセージに、音声、ボディ、タッチ、行動メッセージが一致していることが他者に確信を与える。音声メッセージは「声の大きさ、高さ、抑揚」に、ボディメッセージは「視線、表情、姿勢」に注意すること。



  ▼関係阻害要因の防止

 ・会話内容に対する指図、先導、判断、評価、非難をしない。
 ・相手の話を遮って自分の話をしない。
 ・信用を維持する(約束を守る、秘密をばらさない)。
 ・2人のうち一方だけと仲良くしすぎない。
 ・自己愛にとらわれず、他者を気遣う会話を心がける。



 ▼他者への動機づけ

 ・劣等感をもたらす認知的信念を、カラムと現実的対処で正して、自尊心を確立する。
 ・「こんなやつと仲良く会話なんかしたくない」などという思考に対しては、その認知的信念をカラムする。



  ▼対人不安の解消

 ・自己の行動の評価は、他者の視点からではなく、対人関係技術的にみてどうかを基準にする。
 ・身だしなみを整えることは対人不安を抑制する。
 ・対人不安を誘発する他者と会話する前に、類似の他者かつ対人不安を誘発しない他者との会話をリハーサルイメージすることで対人不安が緩和する。
 ・関係についての自我関与的な認知的信念をカラムで正す。
 ・対人不安にDMをする。
 ・対人不安にMCTカラムをする。





______________________________ 関係調整

 関係調整のモデル

 ・アサーションの実行欠如はストレス場面を持続させる。
 ・相手に対する情報の不足は、恣意的情報の形成や否定的側面の強調という形で他者認知を歪める。非現実的な他者像への期待も、現実の認知を歪める。
 ・自律性の支援は、選択を与えることと、与えられるべき結果を実行することである。
 ・他者を統制しようとすると権力争いになる。統制は内発的動機を低め、抵抗を誘発する。
 ・コンプリメント(ほめること)は、拒絶性スタイルを緩和し、自信をもたせ、行動を強化する。直接的コンプリメントより間接的コンプリメントのほうが効果が高い。
 ・体面(face)には消極的体面(自由、権利)と積極的体面(自己像の評価)がある。



 関係調整の実行プラン

 0 .  自己の感情を整える
1.他者を理解し、他者への認知を改善する
2.関係を自律性支援的な関係にする
3.他者を望ましい方向に動機づける
4.主張性を発揮する
5.依頼する
6.攻撃に備える
7.他者への感情を最適化する



  ▼ 正しい自己を確立する
  ・抑うつ対処と怒り対処を行い、内的なストレスによる他者像の歪みを克服する。特に、抑うつ対処では、自尊心欠如による卑屈な態度や見捨てられ不安による媚びた態度を克服する。怒り対処では、妄想と内的ストレスによって過剰に敏感になった攻撃的な考えを克服する。


 ▼正しい他者認識

 ・相手との情報交換を充実させ、互いの偏見を解く。相手に興味をもって適切に質問する。
 ・他者の態度に対する信念を書き出し、事実と恣意的想像を分けるカラムを行う。
 ・相手のメッセージの欠如とそれによる情報不足を考慮しつつ、相手についての恣意的な信念をカラムで正す。何をもって仮説を支持する証拠とするか(基準)を厳密に決めておく。
 ・カラムにおいて、目前の証拠に気を取られず、「2×2分割表の他の3つの部分はどうなっているか?」と問う。起こらなかったことよりも起こったことばかりに注意が向く傾向に気をつける。
 ・人づての伝聞は、自分に届くまでの間に歪みが混入している可能性に注意して聞く。
 ・自分の考えが本当に他人にも支持されているかを問い直す。面と向かって反論されないことは同意の証拠ではない。
 ・自分が相手に期待している他者像を書き出し、それが非現実的でないか検討する。
 ・外的文脈を理解する。相手の行動に影響を与えてきた過去の要因、家族からどんなルールや志向性を受け継いだか、関係の外側にある職場のストレスなどはないか、など。
 ・相手の立場になる。相手がこちらの行動をどう見ているかを理解しようと努める。



 ▼自律性支援

 ・他者を、自己を満足させるための対象としてではなく、一つの自律的なエージェントとして見なす。選択をさせ、結果に責任をとらせる。
 ・望ましい行動を統制することなく促進する。情報を提供し、他者の視点から状況を理解できるようにオープンに話を聞き、「他者中心」の対応をして自律性を支援する。
 ・統制を避ける。統制には、随伴的愛情や「すべきことをしなさい」というメッセージが見られる。



 ▼他者動機づけ

 ・事実に基いて(間接的に)褒める。事実に基づいていない「おだて」は、警戒心を抱かせるので避ける。
 ・望ましくない行動には、好子を与えず嫌子を与える。ただし統制を感じさせると内発的動機を減じ、反発を招きうるので、主張性の発揮によってこれを実現する。また、望ましい行動の変化には感謝や報酬を示して好子を与える。
 ・動機づけ面接の技術を使う
   a.  変化についての語りを引き出す質問する。「どのような変化が起きてほしいですか?」「どのように変わりたいですか?」など。他に、変化の利害得失、最悪の事態、問題がなかった頃のこと、将来の見通し、人生の価値や目標などについて質問し、考えさせる。
    b.  開かれた質問をして、相手の思考・感情・認知を明確に理解する。「具体的には?」「もう少し詳しく言うと?」など。
    c.  変わる方向の言葉や話を取り上げ、認めて褒める。自信を与え、変わる勇気を持たせる。
    d.  相手の変化についての話を要約して繰り返す。会話の終わりでは方向付けに役立つ言葉をまとめて返す。



 ▼主張(アサーション)

 ・「私は」という言葉で始まるメッセージを使う。「あなた」メッセージは、判断や評価、説教になりやすく、聞き手の怒りの引き金となりやすいので避ける。
 ・自分の思いを語り、かつ相手の思いを語るスペースを残しておく。
 ・これらのアサーションの実行をリハーサル思考で十分に訓練しておく。 動機づけは行動化の項を参照する。



 ▼依頼

 ・依頼の際、相手の体面を維持する。相手を高く評価している態度を示す、自分の誤りを話した後に相手を注意する、遠回しに注意する、相手の肯定的側面についても言及する、など。ただし、遠回しに注意や依頼をするとき、対象の置き換えなどを使って不満を述べる方法は、相手に伝われば怒りを誘発し、伝わらなければ行動の変化はない。 やり方に注意すること。 何が嫌なのかを遠回しに主張する形式をとったほうが良い。
 ・DESC法(台詞作りの技法)
   D:問題の描写。
   E:自分の気持ちの表現、相手の気持ちへの共感。
   S:相手に変えてほしいと望む言動、解決案、妥協案の作成。
   C:肯定的/否定的結果の予測と対応。
  ※DとEを分けること、Sは小さな行動変容に限ること、Cで必ずNOと言われた場合を想定しておくことに注意する。
  例 ) 「部屋が煙草の煙で満ちています (D)。 私は、煙で頭が痛くなって気分が悪くなりました (E)。 窓を開けて煙草を吸ってほしいのですが (S)。 そうすれば、集中して会議に参加できます (C)。」
 ・依頼された行動をとることが望ましくなる解釈を与える。喜んで強力させる。
 ・協力的な気持を前提とする。
 ・相手の防衛的態度を処理する
   a. 相手の否定的な反応の後、しばらく間を置いて、冷静かつ断固として再び依頼する。
   b. 依頼を繰り返す前に、相手の感情を反射する。
   c. お互いが受け入れられる解決策を求めて、交渉する。
 ・説得を成功させるために、相手に話をしてもらう。それが感情を発散させ、また、語りの中に穴を見つけ、新しい情報を取り入れる余地を生む。こちらから相手の考えに近づく必要がある。
  ・ノンバーバルなメッセージに気をつける。
  ・報酬を与え、相手が依頼を受け入れやすい雰囲気を作る。


  ▼攻撃的批判の対処

 ・反射を行う。
 ・攻撃的な批判の一部を認めることで、批判の勢いを削ぐ(分散)。
 ・反射か分散を用いた後、「私がしたことのどこがまずかったのか、もう少し詳しく言ってくれませんか」というように質問する。攻撃性を弱め、誤解を解く情報を得られる。
 ・相手の批判を聞き入れる態度を示した後、批判内容と批判の仕方について相手にフィードバックを与える。例えば「そんな刺々しい言い方で批判されると不愉快だな。僕が迎えに来るのが遅くなったのは、車がパンクしたからだ」など。相手はこちらを言い負かそうとすることがあるが、そのときは相手の感じ方を認めつつも、冷静に自分の立場を繰り返し述べる。
 ・批判をいったん聞いておいて、後日、批判に対応する(延期)。
 ・「相手がこちらの欲求を無視して操ろうとしている」という意図に気づいたら、パワープレイと見なし、主張(冷静に自分の立場や状況を説明する)、回避(相手との関係から抜け出す)、反撃、服従のいずれかの対処方略を選択する。



  ▼他者への感情最適化のイメージ法

 ・まず最初に、リラックスする視覚イメージを2分ほど見る。
 ・相手をはっきりした「絵」として思い浮かべ、その人にとても良いことが起こったところを思い浮かべる。愛情、注目、お金などを、その人が受け取っている様子をよく見る。
 ・こちらの相手に対する態度を、相手の観点でイメージする。
 ・自分が相手になにか良いことをしてあげている様子を見る。
 ・相手が自分に何か良いことをしてくれている様子を見る。
 ・相手の好ましい特徴を思い浮かべる。
 ・自分が相手に、「二人の関係を大事にしたい」と言っている場面をイメージする。




______________________________ ゲーム戦略操作

  ・ゲームの選択主体、戦略、利得をそれぞれ明らかにする。
  ・支配戦略、最適反応戦略、ナッシュ均衡を探す。





20150201

el 4.1


A table of contents


Motivate ----------

  行動化促進        
  複合行動化      
 行動A/抑制     



Cure ---------------

  抑うつ対処        
 怒り対処     



Relate -------------------

 関係促進                  
 他者への動機づけ   
 主張(アサーション)    
 拗れた関係の調性    
 正しい他者認識        






______________________________ 行動化促進

 [ Definition ]

 ・人間の情報の入力は、論理、知覚、表象による。

 ▼論理操作

 ・カラムの本質は「意味を尋ねること」。シニフィエを言語化し、問題を同定する。
 ・推論とは、すでにある情報(前提)から新しい情報(結論)を生み出すプロセスである。

 ▼表象操作

 ・目標表象が具体化することで、手段としての行動表象が具体化され、動機と行動化を促進する。
 ・目標表象となるための行動表象の条件の一つは、「終わり(ゴール)が存在すること」である。
 ・習癖のコントロールは、自分の習慣を「変えたい」という願望だけでは効果がない。「変えよう」という意志を前提とする。
 ・ペナルティコミット:行動A/に制限と罰をコミット、あるいは行動Aに期限と罰をコミットすること。行動化と非行動化のコストを操作する。
 ・スケジューリング:一定の時刻によって行動化を規則付けること。課題達成率を高め、フィードバックによって動機を高める。
 ・目標表象の形成:「ゴールとなる価値獲得」と「手段となる行動」を設定すること。
 ・特性概念の活性化は行動表象を活性化させる。行動記述文を思い出そうとすると、まず特性概念が活性化し、それが手がかりとなって関連する行動記述文の想起を助ける。

 ▼知覚操作

 ・具体的な機会と行為を事前に結びつけておく(たとえば、次に花を見たら、摘んでおこうという実行意図を形成する)と行為の実現可能性が高まる。
 ・構え(set)とは、特定の状況に対して一定の期待をしたり、一定の反応を準備したりして、「認知や反応の仕方に対してあらかじめ一定の方向性をもつこと」である。
 ・構えによって特定の認知/反応をしやすくなり、それ以外の認知/反応をしにくくなる。

 ▼環境操作

 ・行動分析のABCDE分析はそれぞれ、A(先行刺激)、B(行動)、C(強化子)、D(長期的結果)、E(確立操作)である。
 ・ABCDE分析におけるE(確立操作)は、D(長期的結果)の内容と一致させる。
 ・行動クラス:ABC分析において、機能が同じ行動をまとめたもの。
 ・行動A以外の可能的行動を排除できれば、行動A/を志向する自然発生的な価値推論は生じない。
 ・学校や会社からの帰宅時は、すでに疲れがたまっており、眠気は発症を控えている。帰宅時の安心感が引き金となる。覚醒を維持するには、帰宅前と同程度の緊張感のある動機の発生を必要とする。
 ・お菓子を強化子として成立させるためにお腹を空かせることは、環境操作的な確立操作である。
 ・習慣は、内的な環境である。例えば一定の起床時刻が習慣化していると、「それ以外の時刻に起床する」という行動化に必要な動機の量が増加する。






 [ Method ]

 ▼カラム

 ・行動Aをすることのメリット/デメリット分析をカラムで行う。推論する価値は自我関与的なものや統制的なものは避け、自己の維持/発展を価値基準とする。

 ▼目標表象の形成

 ・遂行目標よりも学習目標を持つほうが、動機を維持しやすい。「作品を完成させること」ではなく「制作を通して勉強すること、楽しむこと」を目標とする。
 ・相対的目標でなく絶対的目標を使うほうが動機を維持しやすい。他人との順位を目標にすると、相手次第で自分の感情が左右されることになり、自律性を失う。
 ・課題の具体的な全体量の推定が、ゴールの設定となる。
 ・目標を分解してゴールから逆算したサブゴールを設定する。
 ・目標に資する行動表象の代替案を形成する。
 ・「5分だけ/一回だけ、やってみる」という目標表象は、行動化コストを引き下げる。
 ・「1時間で20回行う」より「3分で1回行う」のほうが近接性を高く、フィードバックを得やすい。
 ・「達成できるかできないか」くらいの難易度の目標表象を形成するために、期限と目標達成量を調節する。

 ▼コミット

 ・行動Aの達成にペナルティコミットする。
 ・デシ式コミット:行動Aに伴う不快や苦痛を進んで受け入れるコミット。苦痛に見合うだけの価値推論が必要である。
 ・コミットは有効期限の設定によって有効性を確立する。
 ・コミットは、それが守られることによるメリットを意識することで有効性を増す。
 ・コミットは、抑うつによって破綻しうるので、抑うつを避ける。

 ▼イメージ

 ・リハーサル思考:行動Aが必要な場面で行われているイメージ体験。実際の課題場面での行動化を円滑にする。
 ・運動野反復練習:予定時刻の起床において、予め寝る前に、起床直後の動きを反復練習することで、起床後にその行動が自動性をもって発生することを促進する。
 ・イメージ価値推論:行動化の状態と状況をイメージ体験して、そこにおける知覚的価値を体験すること。
 ・価値記号化:イメージ価値推論によって発見した価値を記号化(言語化、名付け、格言化)して記憶し、行動化が必要な場面でその記号を想起することで動機を発生させる。
 ・脱フュージョンし、行動にとって不要な思考を眺め、効果を抑制する。
 ・Sati:行動のスピードを低下させて、感覚に注意を当ててラベリングしながら、選択的注意で行動する技法。
 ・行動Aにおいて望ましい特性概念をイメージする。

 ▼行動分析と確立操作

 ・ABC分析において望ましいBをもたらすAを用意する。例:目につく場所にタスクを書いた紙を置くことで、さっさとタスクを達成してすっきりしたいという動機を生じる。また、タスクを目にする機会が増える。
 ・先行投資:資格試験や学校など、金銭の先行投資は、元を取ろうという動機を生じる。
 ・先行刺激の用意は、不可逆なものであるほど効果的である。
 ・行動予定表と達成表への記入は、強化子フィードバック構造となる。
 ・環境操作によって可能的行動を減らす。
 ・行動化コストを上げている要因を分析し、対処する。





______________________________ 複合行動化

 [ Definition ]

 ▼複合行動化操作

 ・複合行動化操作:複数行動のそれぞれの目的を、一つの上位の目的に包摂し、複数行動の手段的価値を見出すこと。目標と行動表象選択の反復による連合強化によって統合し、一つの目標表象によって複数の行動表象が活性化するようになる。
 ・目標に対する手段の選択肢が少ないほど行動表象が活性化する。
 ・複数行動を複数の単一動機操作で操作するのは、目標表象の切り替えを多く要するので、失敗しやすい。また、目標表象間で互いに矛盾と干渉が生じうる。その結果、もっとも重要性が高いものとして選択された目標のみが、一定の期間において支配的に機能することになる。
 ・目標表象のシニフィエを十分にシニフィアン化するには、知識(語彙)と技能の充実を要する。

 ▼習慣行動化操作

 ・複数の目標が干渉しないようにそれぞれ動機操作するには、部分的な目標表象の形成によって、外部の刺激に強化子フィードバック構造を埋め込むことである。 例えば、PCに向かって課題を行っている期間を過ごしていたとしても、食事バランスシートのように「1日にとるべき食事の種類、その大まかな量」という「数値で表された価値」を提示されておけば、自然と食事のときに、その価値と、自分がそれにどれだけ近づけたかという「達成フィードバック」が生じ、フロー的動機が発生するようになる。
 ・習慣行動化操作:信念または環境に、強化子フィードバック構造(目標/行動表象の活性化構造)を存在せしめることで習慣行動を操作する。


  [ Method ]

 ・ゴールの具体的状態をイメージ法で見る。そしてそれを”言語化”する。シニフィエ → シニフィアンの運動。このゴールの発見によって手段的行動化が促進される。芸術の創作に見られる方法。
 ・ゴールのイメージには、発想法やモチーフ展開などの補助的方略もある。芸術家にとっては「制限」(コンセプト、テーマ)が、インスピレーションを助ける。
 ・スケジュールという概念を作り、それをこなすことを上位目標として定める。
 ・達成フィードバックが自然発生するようになるまで、目標表象を強く学習する。
 ・タスクを複数列挙し、優先順位を与え、1から順に実行する際のアルゴリズムを決める。
 ・最も重要な目標表象と行動表象について、数分間のイメージ瞑想を行う。対象外の雑念はSatiする。複数の目標との関連から、とるべき行動の順序が見えてくる。







______________________________ 行動A/抑制

 [ Definition ]

 ・行動化コスト:行動に付随する反価値、反興味。行動化コストは、行動の複雑さ、手順の不明瞭さ、飽きによる退屈さ、行動にかかる時間や労力である。 行動化コストが低いほど行動化が促進される。
 ・行動矯正において行動しながら断続的に注意できる事項は3~4程度である(ワーキングメモリ)。故に、動機操作、抑うつ対処、対人関係操作における有効なメソッドも3~4程度にまとめることで実践しやすくなる。
 ・行動A/のコスト増加の操作は、期限への危機感が動機となって引き起こされることが多い。
 ・生理的に効果のある栄養の摂取は、睡眠欲や疲労感などの行動化コストを低減しうる。

 ▼行動A阻害要因

 ・すべき思考:「~すべき」という考えは、自らにプレッシャーを感じさせ、このプレッシャーへの反発を生起させることで行動化を阻害する。
 ・課題の達成による達成感は娯楽行動を促進し、手段的行動化を阻害する。
 ・達成に繋がらない経験が連続すれば、動機は減少する。
 ・精神的および身体的な疲労は、娯楽への動機を高めたり、睡眠欲を増長する。



  [ Method ]

 ・行動Aに強く動機づける。
 ・ABC分析を行い、先行刺激の構成部分(行動A/がゲームであれば、そのセーブデータ)を壊す。
 ・ABC分析を行い、行動A/を引き起こす誘因を環境操作で遠ざける。
 ・行動A/の反価値推論をする。
 ・自らの行動A/志向な思考を観察し、脱フュージョンする。
 ・「継ぎ目のない」という特性を先行刺激として与え、行動停滞を防ぐ。

 ▼誘因環境内での行動A/抑制

 ・認知すべきものだけを認知するための構え(set)を作る。
  - 行動A/の誘因に近づくことのデメリットをカラムする。
  - 構えを維持することのメリットをカラムする。
  - リラクセーションを行い、認知の活性を低める。(儀式効果)
  - Satiをしながら誘因環境内で行動Aをする。
  - 有用な特性表象を刺激する文章を作り、それを指定公式として持念と留意を維持する。
  - 内的状態を環境操作する。別の興味を認知する。そのための構えをとる。













______________________________ 抑うつ対処

  [ Definition ]

 ・生理的な習慣(食習慣や起床時刻、運動習慣など)は、ストレスの発生を通じて、心的な習慣に影響を与えうる。
 ・反芻は「なぜ~になってしまったのだろう」を繰り返し、自己評価に対する脅威を見出す。
 ・統制的で完全主義的な目標は、達成の可能性において自己嫌悪を促進する。
 ・「動機が発生しないかぎり身体を動かせない」という信念は、行動停滞を発症する。
 ・大きな目標達成による目標表象の喪失と、目標の複雑度が高いことによる達成の喪失が長引くと、抑うつを発症する。
 ・反対給付できないときに金銭を一方的に贈与され続けることは、自尊心を低める。
 ・恋愛感情は自我関与を促進する。人によっては口唇期の絶対依存を再現しようとする。
 ・抑うつや対人不安は、心身症を発症しうる。胃に影響し、吐き気や乗り物酔いを発症させうる。
 ・分裂病の引き金体験は、性的ニュアンスの出来事、家庭からの出立、親との心理的葛藤、超越的経験である。再発の弱点は、色、金、名誉、健康の4つである。
 ・鏡像的他者への羨望(そこに自分が在る、という妄想)による抑うつや自尊心の欠如、自我関与を断ち切るには、自発的去勢を要する。



  [ Method ]

 ・主体の維持/発展を価値基準とした上で、現実的に価値推論を行い、それに基いて行動する。
 ・問題の言語化と、その命題へのカラムを行う。
 ・強く行動Aを動機づけることで、否定的思考対象からの注意を移す。
 ・DMによって思考を色や重さを付して眺めることで、脱フュージョンし、反芻思考を止める。
 ・不安に対しては、失敗を犯した状況の価値推論を行う。その後、状況改善のための解決案を出す。
 ・失敗場面による抑うつに対しては、失敗場面で得たメリットを推論する。
 ・近接目標と強化子フィードバックによるスケジューリングに基いて生活し、悩む時間を減らす。
 ・遂行目標を捨てて学習目標を形成する。自律的で課題関与的な思考をとる。
 ・「幸せが見える」という指定公式のイメージは、幸せな感情が体験でき、前向きな動機を促進する。
 ・望ましい特性表象の指定公式で持念と留意を行う。

 ▼カラム

 ・カラム:問題となっている感情(恐れ、不安、怒りなど)を刺激するような認識を、断定口調で書きだす。願望や疑問を述べてはならない。
 ・矢印法:言語化した問題の命題に「仮にそうだとしてそれは何を意味するのか?」と質問し、暗黙の前提を明らかにする。
 ・反論カラム:意味抽出した文章をテーゼとして、アンチテーゼを立てて否定し、根拠づける。
 ・リフレーミング:問題となっている命題の意味を、言語の使い方と文脈をずらすことで肯定的な意味に変えること。
 ・カラムの価値記号化:カラムの後、そのプロセスで得た重要な論理を、自分に理解しやすい言葉を使って書き出し、感情を誘発する文章として十分に学習し、問題場面で想起しやすくすること。
 ・思考前提の導出:カラムで導出した命題の連結部分に「なぜ」と問いかける。「起きるべきだが、やる気が出せない」と悩むとき、「やる気が出ないなら、起きれない」という思考前提が隠れている。
 ・メタ認知:抑うつ的な反芻思考に機能している「反芻することが問題解決に繋がる」という潜在的信念。




 ・抑うつ状態に見られる非現実的推論(反論カラムの根拠として用いる)
  - 二分法思考:(完全に)優れているか、(完全に)劣っているか、という極端な判断をする。
  - 過度な一般化:1つの不快な出来事が、普遍的であり、これからも繰り返されると考える。
  - 選択的抽象化:物事の悪い側面のみを抽き離して把握し、良い側面を捨象してしまう。
  - 自己肯定の欠如:自己否定的信念が、自己肯定的事象を否定する。
  - 軽蔑的他者の想像:他者の振る舞いに、自己否定的な意味を想像する。
  - 自己否定的事象の予想:自己否定的事象が将来起こると予想する。
  - 感情的推論:「私は罪悪感を感じているから、何か悪いことをしたのだ」という形式の推論。その感情を生じた解釈が正しかったかどうかは検討されず、感情を支持する結論に導く。
  - すべき思考:「~すべき」という考え方に縛られる。すべき思考は統制的かつ自我関与的である。すべき思考は他者にも向けられ、怒りを促進する。
  - 問題の個人化:他者の振る舞いや不幸な出来事について、自己にその責任を過剰に求める。
 ・過去のトラウマティックな経験を、1日15分間、4日連続で筆記する(筆記開示法)。筆記には状態の客観的把握によるセルフモニタリング効果、ストレスフルな刺激にさらされることでネガティブな感情とのつながりを消去するエクスポージャー効果がある。

 ▼イメージ

 ・マインドフルネス:思考は現実ではないことを理解して距離をとり、歓迎し、あるがままにしておく。
 ・DM:認知していることへの認知。概念的活動を止める。
 ・DBTアクセプタンス:「自分は変化しなければならない」と思っている時に、その段階でのありのままを受容する。
 ・ACTアクセプタンス:回避していた私的出来事をそのままにしておく。脱フュージョンによって可能となる。
 ・Sati:身体感覚と現在の心境の客観的言い当て(ラベリング)により、感情を鎮静させる。価値判断を止める。
 ・リラクセイション:筋弛緩をコントロールし、心的緊張を緩和させる。「手くび反屈」、「システム緊張・弛緩(腕系、脚系、躯幹系、全身)」などの訓練がある。
 ・メディテイション:瞑想性意識状態。イメージ法を成功させやすくする。「温感公式」、「システム温感」、「温感拡大」などの訓練がある。

 ▼自己教示

 ・逆説志向:恐れている状態を逆に志向することで、期待不安を解消し、それによって症状を抑える。
例えば、「人に会うとひどく汗をかくのではないか」と恐れている人に、「会う人々にできるだけ多くの汗をかいてみせるように」と助言すること。
 ・小さな人生脚本(ドライバー)に、反対のメッセージ「許可するもの」を使う。「完全であれ」「急げ」「強くあれ」「他人を喜ばせろ」「一生懸命やれ」を、「今のあなたで十分よい」「十分な時間をとれ」「自分の感情にあるがままで任せよ」「自分を喜ばせろ」「ただ、やれ」というように楽になるスローガンを上手く使う。これによって自己否定感と負け癖意識を減らす。

  ▼環境操作

 ・ABC分析を行い、望ましくない刺激を遠ざける。
 ・規則正しい睡眠、食事、運動により生理的ストレスを解消する。
 ・身体的な不快感(腹痛、吐き気、怠さ、寒さなど)は、リラクセイションやメディテイション、脱フュージョンである程度は緩和する。 

 ▼葛藤の処理

 ・行動化の価値推論(メリット・デメリット分析)において導出した命題に配点して重みを付け、合計点の大小で選択する。
 ・葛藤のディレンマを言語化し、条件法導入によって解決する。
 ・合理的な選択のための意思決定過程モデル(情報収集 → 代替案の作製 → 代替案の選択 → フィードバック)を用いる。
 ・葛藤している行動を、行った場合と行わなかった場合のそれぞれのイメージ体験をし、その感じを味わい、どちらを選択すべきかを先方に任せるかのようにイメージを待つ。


______________________________ 怒りの調節

  [ Definition ]

 ・怒りとは、「自己もしくは社会への、不当なもしくは故意による(と認知される)、物理的もしくは心理的な侵害に対する、自己防衛もしくは社会維持のために喚起された、心身の準備状態」である。
 ・怒りと抑うつは発生場面に共通性が見られ、一方から他方へ変化する可能性がある。抑うつを感じやすいスキーマは、怒りを生じやすい。
 ・怒り経験後、許している場合では、怒りを自責化し、合理化・原因究明・怒りの伝達などの行動が見られる。許していない場合では、怒りを肥大化し、社会的共有・逃避・回避・忘却などの行動が見られる。
 ・怒りの表情には知覚優位性があり、注意を引きやすい。
 ・怒りを受ける側は、怒る側よりも出来事を被害的に記憶する傾向がある。
 ・怒りが、怒りの原因を消す対処行動につながるなら、適応的といえる。
 ・自己主張性を送信スキル、場面把握を処理スキルとすると、送信スキルとしての怒りと処理スキルとしての怒りは矛盾する可能性がある。怒りを伝えるスキルだけでは、怒りの問題すべてには対処できない。
 ・生理的、物理的ストレスは怒りを増長する。
 ・自尊心の欠如は、他者への怒りを抑制する。
 ・他者の行動に対する偏った解釈は怒りを誘発する。
 ・他者の人生に踏み込んで「かくあるべき」と当為を当てはめるのは、自律性を放棄している。この考えは怒りを誘発する。

  ▼スティグマ

 ・ある特定の特徴がスティグマを生むのではなく、その特徴に対する周囲のステレオタイプな否定的反応との関係がスティグマという現象である。老一般が日本社会でスティグマになるのは、日本社会が老いの積極的意味をみいだしていないため、老いに対して周囲が否定的な反応しかできないことによる。大卒という属性も、おかれている集団によってスティグマになる。差異や有徴性はあらかじめ存在するのではなく、排除のために、そのつどあらたに発見され、つくられることもある。よってスティグマ(有徴性)は、ヴァルネラビリティ(攻撃誘引性)でもある。有徴な項が析出することによってはじめて、その他大勢が「普通」として定義される。
 ・何が「キモい」「ダサい」とされるかは集団によって異なる。
 ・スケープゴートの排除は集団に連帯感とカタルシスをもたらす。高エントロピーな集団ほど排除への動機は高まる。


  [ Method ]

 ・怒りのコントロール目標として2段階を想定する。第一段階は、怒りがそのまま表出することを防ぎ、社会規範に沿った形で怒りを表現することを目標とする。第二段階は、生じた怒りを自分の中で解消することを目標とする。

 ▼怒り対処(第一段階)

 ・ストレッサーの特定と、その認知を減少させる対処を行う。騒音に対する耳栓、思考に対するSatiなど。
 ・呼吸法を行う(吸気3秒・呼気6秒を2分間)。脈拍を測ってフィードバックを受ける。呼吸法は毎日練習(最低4日間)することで、怒りの場面で使えるようになる。
 ・怒り対処の行動を、オペラント条件付け、行動形成(シェイピング)、過剰学習、般化、モデリングによって身につける。
 ・気晴らしと休養は怒りの増幅を止める。

 ▼怒り対処(第二段階)

 ・怒りと攻撃行動を抑制するには、攻撃に代わる方略をもって目標を達成する必要がある。
 ・何がどのように侵害されたか、怒りはどのような目標の達成に向かっているのか、を筆記する。そこで導出された文章をカラム的に分析する。
 ・怒りの対象に宛てて、自らの怒っている理由と要望を手紙形式で筆記する。
 ・相手の立場になって、相手の考えや希望に同情することで一面的解釈に反論する。
 ・感情にまかせて人と接するのではなく、目的の状態を推論し、その実現のための合理的態度を行動Aとする。


 ▼自律性支援

 ・自律性の支援は、選択を与えることと、与えられるべき結果を実行することである。他者を、自己を満足させるための対象としてではなく、一つの自律的なエージェントとして見なす。
 ・他者を統制しようとすると権力争いになる。
 ・患者の行動は彼ら自信の責任である。患者が進んで協力しなければ、医者は患者を治せない。患者には喫煙の権利があり、患者も医者も有害だと知っていても、もし煙草を吸い続けると患者が決めれば、その決断を尊重する必要がある。医者が助言者から支配者となることは、患者に属する責任を奪うことになる。
 ・統制は内発的動機を低め、抵抗を誘発する。
 ・健康な行動を統制することなく促進するには、”情報を提供”し、他者の視点から状況を理解できるようにオープンに話を聞き、「患者中心」の対応をして患者の自律性を支援することが重要である。
 ・管理者がストレスを感じていると、被管理者に対して放任的になったり、批判的になったりして虐待しやすくなる。欲求不満をそれと気づき認め、放任や攻撃を自律性支援や制限と偽って正当化してはならない。
 ・統制には、随伴的愛情や「すべきことをしなさい」というメッセージなどの手段が見られる。
 ・自我関与:自己に価値があると感じられるかどうかが、ある物事の結果に依存している結果志向的な状態。


  ▼怒り緩和のイメージ法

 ・まず最初に、リラックスする視覚イメージを2分ほど見る。
 ・相手をはっきりした「絵」として思い浮かべ、その人にとても良いことが起こったところを思い浮かべる。愛情、注目、お金などを、その人が受け取っている様子をよく見る。
 ・こちらが怒りを感じている状況を、相手の観点でイメージする。
 ・自分が相手になにか良いことをしてあげている様子を見る。
 ・相手が自分に何か良いことをしてくれている様子を見る。
 ・相手の好ましい特徴を思い浮かべる。
 ・自分が相手に、「二人の関係を大事にしたい」と言っている場面をイメージする。


















______________________________ 関係促進

   [ Definition ]

 ・協力的関係の発生と継続には、報酬的交換が必要である。
 ・負債的交換に人は敏感に反応して早く応酬をしようとする。
 ・反射:話し手のメッセージに含まれる主観的意味(感情など)を、聞き手のメッセージで返す行為。内的観点が他者に理解された感覚を話し手にもたらし、さらなる発言を促す。 例)妻 「もう、あなたなんか死んでしまえばいいんだわ」  夫 「僕に本当に腹を立てているんだね」
 ・開いた質問:話し手の内的観点の表出を助ける自由解答的な質問。これに対し、閉じた質問は二者択一か数個の選択肢のなかから答えさせ、外的観点からの理解を目指しており、話し手にとって報酬はない。 例)開いた質問「ジョンのこと、どう思う?」 閉じた質問「ジョンのこと、好き?」
 ・非言語メッセージの一致:言語メッセージに、音声、ボディ、タッチ、行動メッセージが一致していることが他者に確信を与える。音声メッセージは「声の大きさ、高さ、抑揚」に、ボディメッセージは「視線、表情、姿勢」に注意すること。


  [ Method ]

 ・報酬を与える聞き方(反射、開いた質問、相槌)をする。
 ・相手に興味と関心をもつ。相手自身のことを話題にする。興味を示すボディメッセージを与える
 ・適度に自己開示する。
 ・自分自身のことを話すための話題を持つ。
 ・会話の流れ(話すー交代するー聞く の連続)を作る。
 ・会話のきっかけ作りをする。
 ・社会的スキルを高める。スキル概念を使って肯定的な例と否定的な例を分別し、スキル実行をリハーサルし、日常場面に般化する。また、実行の修正のための自己監視を行う。

  ▼浅い関係における安全な会話(きっかけ作り)

 ・自己論述:「やあ、私は~です」「ここに来るのは初めてなものですから緊張しています」
 ・何か申し出る:「何か飲み物はいかがですか」
 ・基本的情報の交換:「ここには何で来ましたか」「どんな分野のお仕事ですか」
 ・その場に関連したコメントと質問:「私はこういう天候が好きです。あなたは?」
 ・お世辞と質問:「あなたのドレス、本当に気に入ったわ。どこで手に入れましたか」
 ・メッセージの分類
  - a. 情報開示 { ジョーク、自己開示 }
  - b. 利益申出
  - c. 自尊充足 { 反射、質問 }
 ・他者との会話をシミュレーションし、メッセージ分類に基いて、きっかけ作りとなる話題を列挙し、話題の発展の可能性とそのメッセージ分類を筆記する。

  ▼関係阻害要因の防止

 ・会話内容に対する指図、先導、判断、評価、非難をしない。
 ・相手の感情を受け入れ、「悲しむべきではない」「なぜ喜んでいるか分からない」と言わない。
 ・相手の話を遮って自分の話をしない。
 ・信用を維持する(約束を守る、秘密をばらさない)。
 ・2人のうち一方だけと仲良くしすぎない。
 ・ナルシシズムの誘惑にとらわれず、他者を気遣う会話を心がける。






______________________________ 他者への動機づけ

  [ Definition ]

 ・肯定的指名の少なさ、否定的指名の多さが社会適応を低める。
 ・自己を受容できる程度が、他者を受容できる程度と相関する。
 ・他者への社会的スキル実行への動機づけがなければ、不適応的な振る舞いをしてしまい、それが他者からの拒否をもたらし、環境を悪化させ、抑うつを促進する。
 ・その動機が欠如しているときの思考は、「こんなやつと仲良く会話なんかしたくない」というものが多い。
 ・スティグマのある他者や、怒りを感じる他者に対しては、社会的スキル実行への動機が減退する。

 ▼拒否回避の動機

 ・自己提示:状況や相手との関係に応じて、話題の内容や振る舞い方、服装などを選択し、頼りがいある人物を演じたり、従順で控えめな人物を装うなどして、個人がさまざまなイメージを演出するのは、自己に対する他者の反応を望ましい方向へ誘導しようとするからである。
 ・他者に対して適切な印象をあたえることができない場面において対人不安は生じる。
 ・状況に応じた理想的な自己像と、現実の自己像が照合され、自己の修正作業が開始される。修正が困難な場合、逃避的行動が生じる。
 ・対人不安とは、他者の拒否的反応を導くような自己像を提示したことへの不安感である。
 ・ネガティブ評価の回避動機は、他者からのポジティブな評価を獲得しようとする動機とは別次元であり、その特性の強さは自己への評価に対する要求水準を高め、他者の行動の中に隠されている自己へのネガティブ評価を敏感に検出するようになる。拒否回避の動機が高い人は低い人に比べ、同じような他者の行動を見たとしても、そこに何らかの問題点を見つける可能性が高くなり、その分だけ不安も高まりやすい。
 ・対人不安傾向は「社会的スキルの欠如」と「拒否回避の動機づけの強さ」の二つの要因によって規定される。後者で社会的スキルが健在な場合、対人場面に留まって自己像を改善できるが、前者では自己提示が危機的状態に陥ったとき、対処法略が限定されているため、逃避行動が生じやすい。
 ・不安感そのものよりも、逃避傾向のほうが適応上の問題を生じさせやすい。



  [ Method ]

 ・関係することの価値推論。
 ・特定他者についての私の認識を詳細にカラムする。
 ・協力的な目標表象を形成する。
 ・他者と仲良くしている場面をイメージする。
 ・特定他者に望ましくない感情を抱く原因としての先行刺激を解消する。

  ▼対人不安の解消

 ・自己の行動の評価は、他者の視点からではなく、技能的にみてどうかを基準にする。
 ・身だしなみを整えることは対人不安を抑制する。
 ・相手の欠点の発見や、相手が私に望むものの発見は、対人不安を抑制する。
 ・対人不安を誘発する他者と会話する前に、類似の他者かつ対人不安を誘発しない他者との会話をリハーサルイメージすることで対人不安が緩和する。

 ▼自尊心の回復

 ・自己についての価値推論。
 ・自己を勇気づけるセルフトークを増やす。



______________________________ 主張(アサーション)

  [ Definition ]

 ・不安や緊張などのストレスは、社会的スキルの実行を妨害する。
 ・社会的スキル実行には、それに強化子を与える環境や、動機づけが必要である。
 ・アサーションの実行欠如はストレス場面を持続させる。主張しないなら、変化しないことの責任をもつ。
 ・「私」メッセージ:「私は」という言葉で始まるメッセージを使うことで、メッセージが個人の認識にすぎないことを強調でき、主張性が許容されやすくなる。
 ・「あなた」メッセージは、判断や評価、説教になりやすく、聞き手の怒りの引き金となりやすい。
 ・アサーティブな言動とは、正直に自分の思いを語り、しかも相手の思いを語るスペースを残しておくことである。また、言ってみることと言わないこと、どちらのリスクを引き受けるかを自分で選択することである。

 ▼依頼

 ・体面(face)の維持。消極的体面(自由、権利)と積極的体面(自己像の評価)がある。
 ・断り文句 → 理由説明 → 定型表現 の順が丁寧度が最も高い。(例:ごめんね、土曜日、都合が悪くなっちゃったんで、ちょっと日を変えてくれないかな?)
 ・聞き手のコストが大きいほど間接形(否定疑問形、願望形)の依頼が多用される。
 ・説得を成功させるには、相手に話をしてもらうこと。それが感情を発散させ、また、語りの中に穴を見つけ、新しい情報を取り入れる余地を生む。こちらから相手の考えに近づく必要がある。


  [ Method ]

 ・間接的表現を用いることで、相手に自分の感情や意見を想像させることができる。しかし、その主張性は相手の恣意的解釈に依存する。
 ・隠喩や示唆的行動も間接的表現として機能する。
 ・社会的スキル発揮への動機が欠如している場合、それを行動Aとした動機づけ操作を行う(教示)。また、社会的スキル実行に報酬を与えるような環境に身を置くこと。
 ・反復的リハーサル訓練は、アサーションの実行を促進する。
 ・DESC法(台詞作りの技法)
   D:問題の描写。
   E:自分の気持ちの表現、相手の気持ちへの共感。
   S:相手に変えてほしいと望む言動、解決案、妥協案の作成。
   C:肯定的/否定的結果の予測と対応。
  ※DとEを分けること、Sは小さな行動変容に限ること、Cで必ずNOと言われた場合を想定しておくことが重要である。
  例:「部屋が煙草の煙で満ちています (D)。 私は、煙で頭が痛くなって気分が悪くなりました (E)。 窓を開けて煙草を吸ってほしいのですが (S)。 そうすれば、集中して会議に参加できます (C)。」






 ▼依頼の成功要因

 ・遠回しに注意を与える。
 ・自分の誤りを話した後、相手に注意する。
 ・命令せず、意見を求める。
 ・顔を立てて、相手の自己評価を低めない。
 ・期待をかけ、わずかなことでも褒めて、能力に自信をもたせる。
 ・依頼された行動をとることが望ましくなる解釈を与える。喜んで強力させる。
 ・相手の考えや希望に対して同情をもつ。
 ・相手を高く評価している態度で接する。
 ・協力的な気持を前提とする
 ・「私」メッセージを使う:依頼の主体を自分自身に置く。
 ・肯定を使う:相手の肯定的側面についても言及し、こちらの依頼を和らげる。
 ・肯定的な依頼をする:して欲しくないことを言うよりも、して欲しいことを言う。
 ・できるだけ非攻撃的な言葉で表現する
 ・音声メッセージとボディメッセージに細心の注意を払う
 ・聞くスキルを使う
 ・圧力はできるだけかけない:圧力が大きいほど相手の抵抗を生み出す可能性が増える。
 ・相手の防衛的態度を処理する:
   相手の否定的な反応の後、しばらく間を置いて、冷静かつ断固として再び依頼する
   依頼を繰り返す前に、相手の感情を反射させてみる
   お互いが受け入れられる解決策を求めて、交渉する











______________________________ 拗れた関係の調整

  [ Definition ]

 ・対決:相手のメッセージの不一致や不合理な点を改善すること。「あなたは一方で~と言っておいて、他方では~」、「あなたは~と言うけれど、その根拠は何ですか」というように、話し手自身が自らと対決するよう手助けする。反射を用いながら、対決は最小限にとどめることが望ましい。

  ▼嘘

 ・もっともばれにくい類の嘘は、自分自身でそう信じているときの嘘や、相手が信じたがる嘘である。
 ・嘘は、うまくいったときには力をもたらすが、失敗した嘘は力を大きく減退させる。
 ・嘘は権力構造の維持に役立つ。権力に従う人間は、管理された情報によって支配される。対して権威ある社会組織(政府、宗教組織、企業など)は、従う者に嘘を禁じる道徳律を確立する。
 ・信頼とは他者がつねに真実を語るものと信じることではなく、他者が自分に危害を加えることを避けようとするはずだ、と信じることである。

  ▼解読コード

 ・コミュニケーションの現実的な意味を決定するのは「送り手の意図」ではなく「受け手の反応」である。
 ・受け手のもっている解読コードは、受け手が所属する「下位文化」に影響されている。
 ・例)「暴力のサブカルチャー」を学習した者の特徴
  ・直面した問題を暴力によって解決しようとする。
  ・他者がそう意図していなくても、注意したり怒鳴ったり悪者のラベリングをすることは、「挑戦」として受け取る。
  ・暴力は「挑戦」によって誘発されるが、暴力行為が現実化するのは、相手に勝てるかという合理的な判断と、相手や警察などの統制者からなされる反応を計算してからであることが多い。

 ▼攻撃

 ・構造的暴力:ある社会的グループに対して有害な結果をもたらす社会的条件のこと。
 ・暴力の機能的分類
  - ① 嫌な場面を変えたり、避けるため
  - ② 正の強化、すなわちある目標に到達すること
  - ③ 不快な感情の発散
  - ④ 葛藤の解決
  - ⑤ 称賛の獲得
  - ⑥ 文化的に「敵」とみなされるもの、すなわち尊敬に値しない外集団に所属する成員への攻撃

 ▼罰

 ・罰はいくつかの条件がそろったときには攻撃行動を抑制する。その条件とは以下のものである。
  - ① 事前に与えられる罰が十分に嫌悪的でなければならない
  - ② 罰が与えられる可能性は高くなければならない
  - ③ 個人のネガティブな覚醒がその罰の強さや可能性の評価を妨げるほどには強くない
  - ④ その状況において、行為者にとって他の魅力的な行動が選択できる
  - ⑤ 実際の罰が攻撃行動に対して与えられることがわかるように、違反行為の直後に与えられること
 ・罰は反社会的行動を即座に抑制するかもしれないが、社会的問題に対処する別のやり方を用いた後にのみ、より永続的な行動修正が学習される。
 ・罰の反応はそれ自体が攻撃の例であり、攻撃の使用が有効であるというメッセージをもつ。罰は、望ましい行動に報酬を与えるのが第一の目的である道具的学習に向けたアプローチの一部でなければならない。





  [ Method ]

  ▼攻撃的批判の対処

 ・反射
 ・分散:攻撃的な批判の一部を認めることで、批判の勢いを削ぐ。
 ・質問:反射か分散を用いた後、「私がしたことのどこがまずかったのか、もう少し詳しく言ってくれませんか」というように質問する。攻撃性を弱め、誤解を解く情報を得られる。しかし、自分の怒りの原因を具体的に尋ねられると、脅威を感じて怒りが増す人もいる。
 ・フィードバック:相手の批判を聞き入れる態度を示した後は、批判内容と批判の仕方について相手にフィードバックを与える。例えば「そんな刺々しい言い方で批判されると不愉快だな。僕が迎えに来るのが遅くなったのは、車がパンクしたからだ」など。相手はこちらを言い負かそうとすることがあるが、そのときは相手の感じ方を認めつつも、冷静に自分の立場を繰り返し述べること。
 ・延期:批判をいったん聞いておいて、後日、批判に対応するというやり方。
 ・他者の負債的交換に反応する前に、脱フュージョンする。

  ▼パワー・プレイの対処

 ・「相手がこちらの欲求を無視して操ろうとしている」という意図に気づき、対処方略を選択する。
 ・服従:相手の意図や操作に黙って従うこと。
 ・反撃:攻撃的になり相手との緊張を高め、反撃すること。
 ・主張:冷静に断固として自分の立場や状況を説明し、主張的になること。
 ・回避:相手が人を操ることに長けている場合、相手との関係から抜け出すこと。または権力的な第三者に仲介を依頼すること。


























______________________________ 正しい他者認識

  [ Definition ]

 ・文字だけの対話は、音声メッセージと身体メッセージが欠如しており、そこに恣意的な想像と推測が入り込む余地がある。
 ・相手が直接私に向けてではなく、間接的にメッセージを送ってくる場合、正誤のフィードバックが存在せず、恣意的な解釈を増幅する。
 ・他者認知の歪み:相手に対する情報不足や相手に対する不安は、恣意的情報の形成や否定的側面の強調という形で他者認知を歪める。「相手は~すべき」、「相手が私を怒らせる」などの信念や、非現実的な他者像への期待も、現実の認知を歪め、不安や怒りを促進する。

  ▼社会学的他者

 ・属性:資本の量、階層や文化、価値観、所属している内集団の特徴、など。
 ・属性の判断:見た目や振る舞いなどの印象から、相手の属性をステレオタイプ的に判断した後、自らの態度を決める。 多くの場合、この態度の良し悪しが、相互に返報される中で評価が決まる。 関係を改善するには情報交換を充実する必要がある。
 ・われわれの関係は、おたがいについての相互の知識にもとづいて発展し、さらにこの相互の知識は、事実上の関係にもとづいて発展する。
 ・役割現象:人は、「男として」「女として」「店員として」「患者として」他者を見る。相手を「店員として」見ると同時に、自分を「客として」見るというように、類型化は自他相互に生じる。
 ・アイデンティティ:自分が何者であるかを、自分に語って聞かせる逸話であり、その現実化において他者の承認を必要とするもの。 アイデンティティは特定の社会的文脈において承認される。

  ▼誤信

 ・何をもって仮説を支持する証拠とするか(基準)が厳密に決められていないかぎり、お気に入りの仮説を支持する証拠はいくらでも見つかる。
 ・もし夢に予言的な力があると信じていたとすると、夢で見たことが現実に起こった場合だけが、ひとつのできごととして心に刻まれる。これを一面性のできごとという。起こりうる結果が、どんなものにせよ同程度の感情を引き起こすなら、そのできごとは二面性である。
 ・人は何かを信じたいとき、「どんな証拠がこの信念を支持するか」を自問するが、その問いは注意を肯定的証拠に向けさせ、望む結論に反する情報から遠ざける。
 ・方略の有効性は、成功例が稀でも肯定されうるし、失敗例はもともと無理なことだったと解釈されうる。ある方略が有効でないことが分かるためには、他の方略に比べて成功率が低いことに気づかなければならない。他の方略が用いられることがないなら、自分の気に入った方略が間違っていることに気づくことはない。
 ・人は、重大な結果は重大な原因によって引き起こされたと予想しがちである。結果はその原因と類似しているはずだという代表性にもとづくヒューリスティクスが作用する。
 ・人は常に、物事が白黒はっきりしていることを好み、考えを過度に単純化しようとし、自分の信念に過剰な自信をもちたがる。また、自分の周囲で起こるすべてのことがらが制御可能なものであると考えがちである。まったくのランダムなデータの中に一定の構造や関連性を見つける傾向、起こらなかったことよりも起こったことばかりに注意が向く傾向、比較対照すべき状況を考慮せずに現在の状況で起こったことだけから結論を引き出す傾向がある。
 ・悪い噂が流れることによる実害は、噂に影響された他者から、報酬的態度が得難くなることである。よって自己の権力を下げる情報は開示しないほうがよい。
 ・論理的には信じるべきでないこと(他者の態度に関する予測、確信など)を、体感的に信じてしまっている状態においては、改めてカラムをすべきである。







  [ Method ]

 ・他者の態度に対する認識を書き出し、事実と恣意的想像を分けるカラムを行う。
 ・客観的情報が必要な場面では、人が話す内容から主観的情報と二分法的表現を排除し、数値に直して表現するとよい。

 ▼誤信対処

 ・目前の証拠に気を取られず、「2×2分割表の他の3つの部分はどうなっているか?」と問う。目に見えないデータ、入手不能であったデータを考慮する。
 ・後づけの説明を抑えるために、「逆の結果だとしても信念が支持されたと解釈するか」「私と反対の信念をもつ人ならこの結果をどう解釈するか」と問う。
 ・人づての伝聞は、情報の発信源の信頼性と、そこから自分に届くまでの間にどれだけの歪みが混入している可能性があるかについて懐疑的に考えるべきである。
 ・自分の考えが本当に他人にも支持されているかを問い直すべきである。面と向かって反論されないことを同意の証拠と考えてはならない。
 ・どんなデータにも規則性を見つけがちであること、回帰現象を過小評価しがちであることが、偶然に過ぎない事柄を意味のあるものと判断してしまうことに繋がることを意識する。

  ▼歪んだ他者認知の改善

 ・自分が相手に期待している他者像を言語化し、それが非現実的でないか検討する。
 ・「相手は~すべき」、「相手が私を怒らせる」などの信念に反論する。
 ・情報を集める:相手にもっと興味をもって適切に質問し、相手に関する情報を拡充する。
 ・外的文脈の理解:相手の行動に影響を与えてきた過去の要因について知るようにする。家族や親戚からどんなルールや志向性を受け継いだか、関係の外側にある職場のストレスなどはないか、など。
 ・知覚の誤りを修正する:相手の否定的な行動を強調したり誇張していないか自問する。
 ・相手の知覚をチェックする:相手が自分自身の行動をどう見て、どう解釈しているか確認する。
 ・相手の立場になる:相手が争いやこちらの行動をどう見ているか、理解しようと努める。
 ・今までとは違った行動をする:人は一般に、否定的な行動には否定的に返し、肯定的行動には肯定的に返す。いままでと違った行動をとれば、自分の行動に原因があったかはっきりする。
 ・競争的態度を捨てる:勝ち負けのつもりでいると、相手を否定的に見る事に関心を持ってしまう。



el 4.0 β

Definition motivate


問題定義
 ・アクラシア:行動A(価値ある行動、すべき行動)が行動化されない状態。 期限直前になるまで行動化できない先延ばし現象も含む。
 ・行動Aは自我関与的なものと課題関与的なものがある。主体的価値推論と自律的選択が課題関与的行動Aを形成する。


行動A阻害要因
   ▼認知要因
 ・「自分は~できないだろう」という無力感は行動化を阻害する。本当にできないかテストしてみたり、今まで自分が達成したことを数えたりして、自己効力感を強化する必要がある。
 ・must思考:「~すべき」という考えは、自らに道徳性を課し、プレッシャーを感じさせると同時に、このプレッシャーへの反発を生起させ、行動化を阻害する。
 ・課題の達成による達成感は娯楽行動を促進し、手段的行動化を阻害する。
 ・達成に繋がらない経験が連続すれば、動機は減少する。
   ▼環境要因
 ・胃の疲れは全身を疲労させ、睡眠欲を増長する。
 ・精神的および身体的な疲労は、娯楽への動機を高める。
 ・課題の達成感は、娯楽への動機を高める。











技法定義
 ・行動化コスト:行動に付随する反価値、反興味。行動化コストは、行動の複雑さ、手順の不明瞭さ、飽きによる退屈さ、行動にかかる時間や労力である。 行動化コストが低いほど行動化が促進される。
 ・行動矯正において行動しながら断続的に注意できる事項は3~4程度である(ワーキングメモリ)。故に、動機操作、抑うつ対処、対人関係操作における有効なメソッドも3~4程度にまとめることで実践しやすくなる。
   ▼論理操作定義
 ・カラムの本質は「意味を尋ねること」。シニフィエを言語化し、問題を同定する。
 ・推論とは、すでにある情報(前提)から新しい情報(結論)を生み出すプロセスである。
 ・動機操作としての価値推論は、実際の行動要請場面に至る前に、意図して行うものである。価値推論せずに行動要請場面に直面すれば、従来の行動が生じるだけである。
   ▼表象操作定義
 ・目標表象となるための行動表象の条件の一つは、「終わり(ゴール)が存在すること」である。
 ・価値を認知していても、手段としての行動表象がなければ行動化しない。同様に、行動表象があっても価値を認知しなければ行動化しない。
 ・習癖のコントロールは、自分の習慣を「変えたい」という願望だけでは効果がない。「変えよう」という意志を前提とする。 前者から後者への移行には、具体的な目標表象と行動表象を要する。
 ・1時間で20回行う、というより、3分で1回行う、というように、近接性を高めたほうがフィードバックを得やすい目標表象となる。 また、自分の課題処理能力を時間的かつ量的に測定することで、適切な目標値を設定できる。
   ▼知覚操作定義
 ・妄想や概念操作によって感情を発生できる。
 ・一時的に抱く興味は、全く別の興味/反興味を含む刺激を与えられることで消えうる。
 ・構え(set)とは、特定の状況に対して一定の期待をしたり、一定の反応を準備したりして、「認知や反応の仕方に対してあらかじめ一定の方向性をもつこと」である。
 ・構えによって特定の認知/反応をしやすくなり、それ以外の認知/反応をしにくくなる。
   ▼環境操作定義
 ・行動分析のABCDE分析はそれぞれ、A(先行刺激)、B(行動)、C(強化子)、D(長期的結果)、E(確立操作)である。
 ・行動A以外の可能的行動を排除できれば、行動A/を志向する自然発生的な価値推論は生じない。
 ・学校や会社からの帰宅時は、すでに疲れがたまっており、眠気は発症を控えている。帰宅時の安心感が引き金となる。覚醒を維持するには、帰宅前と同程度の緊張感のある動機の発生を必要とする。







複数行動化操作定義
   ▼複合行動化操作定義
 ・複合行動化操作:複数行動のそれぞれの目的を、一つの上位の目的に包摂し、複数行動の手段的価値を見出すこと、目標と行動表象選択の反復による連合強化によって統合し、単一動機操作化する。
 ・複数の行動を一つに統合して動機づけることが難しいのは、複数の行動表象に目標の活性化の量が分散されてしまうからだ。
 ・目標に対する手段の選択肢が少ないほど行動表象が活性化する。
 ・「一つの行動表象」は、分節可能である。例えば、「パンを食べる」という行動は「右手をテーブルに伸ばす」「パンをつかむ」「手を口に運ぶ」「咀嚼して飲み込む」といったように分節できる。
 ・分節されていた行動表象が統合されるのは、一つの目標にとっての手段として、反復され、連合が強化され、目標表象の活性化だけで自動的に(意識的な意図なしで)行動表象が直接活性化することによる。
 ・単一の目的によって、複数行動は単一行動として認知されるに至る。だから、「右手をテーブルに伸ばす動機」と「パンをつかむ動機」は、初めは別々の目的を志向しうるものであったが、一つの目的に統合された後には意識されない。 ここに至って、単一動機操作が可能となる。
 ・複数行動を複数の単一動機操作で操作するのは、目標表象の切り替えを多く要するので、失敗しやすい。また、目標表象間で互いに矛盾と干渉が生じうる。その結果、もっとも重要性が高いものとして選択された目標のみが、一定の期間において支配的に機能することになる。
 ・複数の目標が、上位の一つの目標に包摂され、序列をつけられれば、二者択一的な選択をする必要がなくなる。これが目標の統合の効果である。
   ▼習慣行動化操作定義
 ・複数の目標が干渉しないようにそれぞれ動機操作するには、部分的な目標表象の形成によって、外部の刺激に強化子フィードバック構造を埋め込むことである。 例えば、PCに向かって課題を行っている期間を過ごしていたとしても、食事バランスシートのように「1日にとるべき食事の種類、その大まかな量」という「数値で表された価値」を提示されておけば、自然と食事のときに、その価値と、自分がそれにどれだけ近づけたかという「達成フィードバック」が生じ、フロー的動機が発生するようになる。 このように、「どちらの目的を優先させるか」という葛藤を生じない形で、地としての動機操作を行う方法が、習慣行動化操作である。
 ・習慣行動化操作:信念または環境に、強化子フィードバック構造(または特性/目標/行動表象の活性化構造)を存在せしめることで習慣行動を操作する。











Method motivate


行動A/抑制要因
 ・行動A/の反価値推論(デメリットイメージ体験)
 ・環境操作によって誘因刺激から一定時間以上離れる
 ・自らの行動A/志向な思考を観察し、脱フュージョンする
 ・行動A(行動A/を避けること)の価値推論と目標表象形成を行う
 ・行動A/における強化子フィードバックとの断絶
 ・ABC分析を行い、行動A/を引き起こす誘因を環境操作で遠ざける。
 ・ABC分析を行い、先行刺激の構成部分(行動A/がゲームであれば、そのセーブデータ)を壊す。
   ▼行動停滞の対処
 ・環境操作によって可能的行動を減らす。「何もせず考えこむ」という行動をも縮減する。
 ・「継ぎ目のない」という特性を先行刺激として与える。
 ・行動A/のコスト増加の操作は手段であり、それを引き起こす動機は期限への危機感であることが多い。


複合行動化促進
 ・ゴールからサブゴールを逆算し、その中で複数の行動を含めることが、複合行動化を促進する。
 ・目標表象が具体化することで、手段としての行動表象が具体化され、動機と行動化を促進する。
   ▼目標表象の具体化
 ・ゴールの具体的状態をイメージ法で見る。そしてそれを”言語化”する。シニフィエ → シニフィアンの運動。このゴールの発見によって手段的行動化が促進される。芸術の創作に見られる方法である。
 ・目標表象のシニフィエを十分にシニフィアン化するには、知識(語彙)と技能の充実を要する。
 ・目標Aの代案としての副次的目標表象Bの形成は、行動化を促進し、目標Bの達成を通して、創発的かつボトムアップ的または副次的に目標Aを達成する。
 ・ゴールのイメージには、発想法やモチーフ展開などの補助的方略もある。芸術家にとっては「制限」(コンセプト、テーマ)が、インスピレーションを助ける。









行動化促進
 ・できること、すべきことが1つか2つで単純なとき、即ち可能的行動が少ないとき、行動化が促進される。
 ・価値志向の可能的行動を縮減するには論理操作と表象操作がよい。
 ・興味志向の可能的行動を縮減するには知覚操作と環境操作がよい。
   ▼論理操作
 ・行動Aすることによるデメリットを推論することで、行動Aをすべきと思いつつもやらない理由を言語化できる。
 ・行動化コストを上げている要因を論理的に分析し、対処する。
 ・行動がやる気に先行する、という信念の形成は、行動化を促進する。
 ・価値推論:「行動Aの結果、どのような価値が手に入るか?」という推論。なお、推論する価値は自我関与的なものや統制的なものは避け、自己の維持/発展を価値基準とする。
 ・価値推論するとき、価値の種類に基いて多角的に推論できる。経済資本、文化資本、政治資本、身体資本。
   ▼表象操作
 ・スケジューリング:一定の時刻によって行動化を規則付けること。課題達成の確率を高め、フィードバックによって動機を高める。
 ・目標表象の形成:「ゴールとなる価値獲得」と「手段となる行動」を設定すること。手段としての行動表象は、達成可能性を感じられるほど具体的である必要がある。達成に必要な行動表象を理解していないなら、試みは失敗する。
 ・目標の時間毎の達成量を数値化して記録する
 ・手段としての行動表象は、それを行える能力があることで効果をもつ。「注意の操作」など、不随意性の高い行動は、行動表象として不適切である。
 ・目標にとってより効率的な行動表象を発見する。
 ・特性概念の活性化は行動表象を活性化させる。行動記述文を思い出そうとすると、まず特性概念が活性化し、それが手がかりとなって関連する行動記述文の想起を助ける。
 ・具体的な機会と行為を事前に結びつけておく(たとえば、次に花を見たら、摘んでおこうという実行意図を形成する)と行為の実現可能性が高まる。
 ・「5分だけ/一回だけ、やってみる」という目標表象は、行動化コストを引き下げ、実際の行動による価値発見が行動化を維持しうる。
 ・課題の具体的な全体量の推定が、ゴールの設定でもある。
 ・課題に時間制限を与え、難易度を付与する。ただし「これくらいならできそうだ」と思える水準にする。
 ・目標を分解してゴールから逆算したサブゴールを設定する。
 ・近接目標としてのサブゴールを定める。達成度のフィードバックが得やすくなり、動機を高める。
 ・遂行目標よりも学習目標を持つほうが、動機を維持しやすい。「作品を完成させること」ではなく「制作を通して勉強すること、楽しむこと」を目標とする。
 ・失敗したときの対処の行動表象を準備をしておくことで、必要以上に失敗を恐れなくなる。
 ・「精一杯努力する」「出来るだけ多く」などの抽象的かつ主観的な目標よりも、「月間目標100本販売」のように数値で表された客観的目標のほうが、達成度をフィードバックしやすく、動機を高める。
 ・目標は、「達成できるかできないか」くらいの難易度であることが効果的に動機を高める。難易度は時間の制限や課題の選択によって調整できる。
 ・相対的目標でなく絶対的目標を使うほうが動機を維持しやすい。他人との順位を目標にすると、相手次第で自分の感情が左右されることになり、自律性を失う。
 ・嫌悪性の高いペナルティコミットは期限よりも早めに行動化することを価値づける。
 ・行動Aに期限と罰のコミットがあるとき、行動Aは時間的に後置される。
 ・行動Aの達成が速いほど報酬の増加があるとき、行動Aは時間的に先取される。
 ・ペナルティ コミット:行動A/に制限と罰をコミット、あるいは行動Aに期限と罰をコミットすること。行動化と非行動化のコストを操作する。
 ・コミットは、抑うつによって破綻する。
 ・デシ式コミット:行動Aに伴う不快や苦痛を進んで受け入れるコミット。苦痛を伴う行動化を促進する。ただし、苦痛に見合うだけの価値推論が必要である。
 ・コミットは有効期限の設定によって有効性を確立する。また、それが守られることによるメリットを意識することが有効性を増す。
   ▼知覚操作
 ・リハーサル思考:行動Aが必要な場面で行われているイメージ体験。実際の課題場面での行動化を円滑にする。
 ・Sati:行動のスピードを低下させて、感覚に注意を当ててラベリングしながら、選択的注意で行動する技法。
 ・メディテイション:瞑想性注意状態。温感や筋弛緩によって発生させる。
 ・運動野反復練習:予定時刻の起床において、予め寝る前に、起床直後の動きを反復練習することで、起床後にその行動が自動性をもって発生することを促進する。
 ・「幸せが見える」という指定公式のイメージは、幸せな感情が体験でき、前向きな動機を促進する。
 ・「絶対に寝ないからな」と口に出して何度も言うことは、睡眠行動を阻害する効果が少なからずある。
 ・知覚的価値推論:行動化の状態と状況をイメージ体験して、そこにおける知覚的価値を体験すること。嫌悪する反価値を体験することは行動A/の抑制となる。行動化の場面のイメージ体験は行動表象の形成にもなる。知覚的価値推論は意図せず自然に行われることもある。
 ・価値記号化:知覚的価値推論によって発見した価値を記号化(言語化、名付け、格言化)して記憶し、行動化が必要な場面でその記号を想起/復唱することで価値への動機を想起すること。
 ・脱フュージョンし、行動にとって不要な思考を眺め、効果を抑制する。
   ▼環境操作
 ・不随意的注意への影響操作:机の上のタスクを書いた紙を置いておけば、さっさとタスクを達成してすっきりしたいという動機を生じうる。また、タスクを目にする機会が増えて、タスクを意識した行動が増える。
 ・先行投資:資格試験や学校など、金銭の先行投資は、元を取ろうという動機を生じる。
 ・生理的に効果のある栄養の摂取は、睡眠欲や疲労感などの行動化コストを低減しうる。
 ・環境操作は不可逆であるほど効果が出やすい。
 ・ABC行動分析のAからBに至るまでの因果連鎖は、さらに細かく分割できる。
 ・頭や頬をはたき続ける、起立して歩く、涼しい場所に移動する、コーヒーを飲む、などの行動は睡眠欲の消滅を促進する。
 ・期限あるいは時刻ギリギリであるという情報を認知すると、感情が変わる。すなわち、平常心から、焦りへと変化する。注意を喚起する目覚まし時計が有効である。
 ・行動予定表と達成表への記入は、強化子フィードバック構造となる。
 ・お菓子を強化子として成立させるためにお腹を空かせることは、環境操作的な確立操作である。
 ・習慣は、身体的な内的環境である。 例えば一定の起床時刻が習慣化していると、「それ以外の時刻に起床する」という行動化に必要な動機の量が増加する。









Definition cure


問題定義
 ・抑うつ:自我関与的思考による自己否定感、他者に攻撃されるという不安感、自己の価値観の希薄化による無力感、何が正しくて価値があるのかが不明瞭になることによる葛藤の不安感、これらによって目的志向の手段的行動化が著しく阻害されている状態。
 ・葛藤状態:複数の価値ある選択肢からどれを選択すべきかが不明瞭で、不安な状態。
   ▼抑うつ発症要因
 ・統制的で完全主義的な目標は、達成の可能性において自己嫌悪を促進する。目標を自分が達成できるように中ぐらいの程度に抑えることで改善する。
 ・他者の価値観に影響された自我関与的思考は抑うつを発症する。自律的かつ課題関与的思考をとることで改善する。
 ・「動機が発生しないかぎり身体を動かせない」という信念は、抑うつ状態における行動停滞を発症する。
 ・大きな目標達成による目標表象の喪失と、目標の複雑度が高いことによる達成の喪失が長引くと、抑うつを発症する。
 ・反対給付できないときに金銭を一方的に贈与され続けることは、自尊心を低め、抑うつを発症しうる。
 ・自尊心の欠如は、抑うつを発症し、行動を停滞させる。また、自己嫌悪と他者への怒りを促進する。
   ▼症状化
 ・危機感、他者へのストレスは、心身症の原因となりうる。特に、胃に影響し、早朝の吐き気や乗り物酔いを発症させる。
 ・引きこもりは自己と他者が比較される状況からの逃避となり、自我関与的な抑うつの発症を環境的に抑制する。
 ・分裂病の引き金体験は、性的ニュアンスの出来事、家庭からの出立、親との心理的葛藤、超越的経験である。再発の弱点は、色、金、名誉、健康の4つである。









技法定義
   ▼論理操作定義
 ・カラムの価値記号化:カラムの後、そのプロセスで得た重要な論理を、自分に理解しやすい言葉を使って書き出し、感情に響くキーセンテンスとしてまとめ、問題場面で自動的に想起しやすくすること。
 ・思考前提の導出:カラムで導出した問題の命題の連結部分に「なぜ」と問いかけることで現れる、隠れた前提。 例えば、「起きるべきだが、やる気が出せない」と悩むとき、その裏には「やる気がなければ起きれない」という思考前提(潜在的信念)が隠れている。
 ・メタ認知:抑うつ的な反芻思考を生じているときに機能している「反芻することが問題解決に繋がる」という潜在的信念。
 ・最悪許容:直面している問題について想定できる最悪の状態を言語化し、それを受け入れるために、その状態における仮定的価値推論を行う。その後、問題を改善するための思考と行動を行う。
 ・ストレス場面に見出しうる価値を推論できれば、ストレスを減らせる。
      ▼抑うつ状態に見られる非現実的推論(反論カラムの根拠となる)
    ・二分法思考:(完全に)優れているか、(完全に)劣っているか、という極端な判断をする。
    ・過度な一般化:1つの不快な出来事が、普遍的であり、これからも繰り返されると考える。他者や自己に対する否定的なレッテル貼りも、同様の思考傾向による。
    ・選択的抽象化:物事の悪い側面のみを抽き離して把握し、良い側面を捨象してしまう。
    ・自己肯定の欠如:自己否定的信念が、自己肯定的事象を否定し、自己否定的事象を肯定する。
    ・軽蔑的他者の想像:他者の振る舞いに、自己否定的な意味を想像する。
    ・自己否定的事象の予想:自己否定的事象が将来起こると予想する。
    ・感情的推論:「私は罪悪感を感じているから、何か悪いことをしたのだ」という形の推論。その感情を生じた解釈が正しかったかどうかは検討されず、感情を支持する結論に導く。
    ・すべき思考:「~すべき」という考え方に縛られる。当為は統制的目的を示す。すべき思考は統制感であり自我関与の結果である。すべき思考は他者にも向けられ、怒りを促進する。
    ・問題の個人化:他者の振る舞いや不幸な出来事において、自己にその責任を過剰に求める。
   ▼知覚操作定義
 ・Sati:身体感覚と雑念と現在の心境の客観的言い当て(ラベリング)により、感情を鎮静させる効果がある。現時点への価値判断を行わない注意。Satiの後に価値記号の想起をすると行動化しやすい。
 ・リラクセイション:筋弛緩をコントロールし、心的緊張を緩和させる。「手くび反屈」、「システム緊張・弛緩(腕系、脚系、躯幹系、全身)」などの訓練がある。
 ・メディテイション:瞑想性意識状態。イメージ法を成功させやすくする。「温感公式」、「システム温感」、「温感拡大」などの訓練がある。
 ・イメージ:主に視覚モダリティにおけるイメージ体験を操作する技法。「風景イメージ、具体物イメージ、人物イメージ、抽象イメージ」、「一般課題場面イメージ、回想課題場面イメージ、自己課題場面イメージ」、「別イメージ導入」、「特徴強化」などの訓練がある。
 ・マインドフルネス:思考は現実ではないことを理解して距離をとり、歓迎し、あるがままにしておく「あることモード」になること。 これは動機づけの場の欠如の解決に資する知覚操作である。
 ・DM:認知していることへの認知。弱い概念的活動。













Method cure

抑うつ改善要因
 ・問題の言語化と、その命題へのカラムを行う。
 ・主体の維持/発展を価値基準とした上で、現実的に価値推論を行い、それに基いて行動する。
 ・逆説志向をとる。恐れている結果を目的とすることで、恐怖反応を抑制する。
 ・思考を観察し、脱フュージョンを行う。
 ・失敗を犯した状況の価値推論を行う。
 ・近接目標と強化子フィードバックによるスケジューリングに基いて生活し、悩む時間を減らす。
   ▼論理操作
 ・問題となっている感情(恐れ、不安、怒りなど)を刺激するような認識を、断定口調で書きだす。願望や疑問を述べてはならない。
 ・リフレーミング:問題となっている命題の意味を、言語の使い方と文脈をずらすことで肯定的な意味に変えること。
 ・矢印法:言語化した問題の命題に「仮にそうだとしてそれは何を意味するのか?」と質問し、暗黙の前提を明らかにする。
 ・対話方式:メリット/デメリット分析において、メリット側とデメリット側を別人格として討論させるように命題産出する。
 ・反論カラム:意味抽出した文章をテーゼとして、アンチテーゼを立てて否定し、根拠づける。
   ▼表象操作
 ・逆説志向:恐れている状態を逆に志向することで、期待不安を解消し、それによって症状を抑える。
例えば、「人に会うとひどく汗をかくのではないか」と恐れている人に、「会う人々にできるだけ多くの汗をかいてみせるように」と助言すること。
 ・遂行目標を捨てて学習目標を形成する。
 ・DBTアクセプタンス:「自分は変化しなければならない」と思っている時に、その段階でのありのままを受容する。
 ・ACTアクセプタンス:回避していた私的出来事をそのままにしておく。脱フュージョンによって可能となる。
 ・心配は「もし~になったらどうしよう」を繰り返し、自らの安全に対する脅威を見出す。心配の対処は、「~になった」場合へのアクセプトである。
 ・反芻は「なぜ~になってしまったのだろう」を繰り返し、自己評価に対する脅威を見出す。反芻への対処は、「~になってしまう」ことへのアクセプトである。
   ▼知覚操作
 ・DMによって思考を色や重さを付して眺めることで、脱フュージョンし、認知の機能を変えることで、悪循環的な反芻思考を止める。
 ・イメージ法とリラクセーションを毎日訓練することは、実際問題場面での感情操作の成功率を上げる。
   ▼環境操作
 ・プラスの贈与と反対給付が持続する関係の獲得は、自己否定的な抑うつを改善する。
 ・空腹時のストレスは、食事により発散する。
 ・生理的な習慣(食習慣など)は心的な習慣に影響を与えうる。
 ・周囲の環境の変化、状況の停滞に対する疲れ、眠気、怒りなどの抑うつ感情以外の不随意な力動は、抑うつを改善しうる。
 ・時間経過が抑うつを解消しうる。神経生理学的なプロセスが予想される。
 ・適度な運動は脳を活性化し、抑うつ改善効果もある。
 ・身体的な不快感(腹痛、吐き気、怠さ、寒さなど)は、リラクセイションやメディテイション、脱フュージョンである程度は緩和する。 
 ・早起きと日光浴、規則的生活は抑うつを改善する。
      ▼行動分析
    ・環境操作は行動分析学のABC分析に基づく、個体と環境内の刺激との関係を操作する随伴性マネジメントによる介入である。
    ・ルール:強化随伴性を記述した言語刺激。確立操作としても機能する。
    ・ABCDE分析におけるE(確立操作)は、D(長期的結果)の内容と一致させる。
    ・行動クラス:ABC分析において、機能が同じ行動をまとめたもの。

原因別解決要因
   ▼自尊心の欠如
 ・自己についての価値推論
 ・自己弁護のセルフトークを増やす
 ・報酬的交換が継続する関係を築く
 ・他者と自己を具体的に比較し、それぞれの価値を推論することで、自らの価値を確認する。
   ▼葛藤
 ・葛藤のディレンマを言語化し、条件法導入によって論理操作で解決する。
 ・選択肢Aと選択肢Bのそれぞれのメリットとデメリットを自発イメージで何度か体験することで、自然と自分のなかで決断が偏ってくる。意識的論理的ではないようにして考えることで決断する。
 ・合理的な選択のための意思決定過程モデル(情報収集 → 代替案の作製 → 代替案の選択 → フィードバック)を用いる。
 ・葛藤している行動を、行った場合と行わなかった場合のそれぞれのイメージ体験をし、その感じを味わい、どちらを選択すべきかを先方に任せるかのようにイメージを待つという手法で解決する。






















Definition relate


問題定義
 ・自己否定状態は、他者に対するマイナスの贈与を認知しやすく、自罰傾向があり、プラスの贈与と関係を阻害する。
 ・プラスの贈与と反対給付が持続する関係の獲得が、自己肯定感を高め、さらなるプラスの贈与を促進する。
 ・他者認知の歪み:相手に対する情報不足や相手に対する不安は、恣意的情報の形成や否定的側面の強調という形で他者認知を歪める。「相手は~すべき」、「相手が私を怒らせる」などの信念や、非現実的な他者像への期待も、現実の認知を歪め、不安や怒りを促進する。
 ・自己を受容できる程度は、他者を受容できる程度と相関する。


技法定義
 ・コミュニケーションに意味を与えるのは受け手の反応である。
 ・協力的関係の発生と継続には、報酬的交換が必要である。
 ・交換には報酬的交換と負債的交換に分けられ、負債的交換に人は敏感に反応して早く応酬をしようとする。
 ・負債的交換に反応するのみでは、負債の応酬のポトラッチによって、嫌悪関係が発展する。
 ・1/f的会話:会話内容を時間的前後で関連付けながら、ほどよく期待を逸脱していくようにして、興味を維持すること。文脈の重視と逸脱。 まったく予想外なことを話題にしたい場合、関連する浅い会話から始めたほうがよい。
 ・非言語メッセージの一致:言語メッセージに、音声、ボディ、タッチ、行動メッセージが一致していることが他者に確信を与える。音声メッセージは「声の大きさ、高さ、抑揚」に、ボディメッセージは「視線、表情、姿勢」に注意すること。また、各メッセージには所属する文化規範が表出する。
   ▼会話スキル
 ・反射:話し手のメッセージに含まれる主観的意味を、聞き手のメッセージで返す行為。内的観点が他者に理解された感覚を話し手にもたらし、さらなる発言を促す。 例)妻 「もう、あなたなんか死んでしまえばいいんだわ」  夫 「僕に本当に腹を立てているんだね」
 ・開いた質問:話し手の内的観点の表出を助ける自由解答的な質問。これに対し、閉じた質問は二者択一か数個の選択肢のなかから答えさせ、外的観点からの理解を目指しており、話し手にとって報酬はない。 例)開いた質問「ジョンのこと、どう思う?」 閉じた質問「ジョンのこと、好き?」
 ・「私」メッセージ:「私は」という言葉で始まるメッセージを使うことで、メッセージが個人の認識にすぎないことを強調でき、主張性が許容されやすくなる。また、私メッセージでない表現を私メッセージに直すことで、自己開示の効果が加わり、さらに自らの認識の言語化でもあるのでセルフモニタリング効果がある。
 ・「あなた」メッセージは、判断や評価、説教になりやすく、聞き手の怒りの引き金となりやすい。
 ・対決:相手のメッセージの不一致や不合理な点を改善すること。「あなたは一方で~と言っておいて、他方では~」、「あなたは~と言うけれど、その根拠は何ですか」というように、話し手自身が自らと対決するよう手助けする。相手を言い負かしたりせず、反射を用いながら、対決は最小限にとどめることが望ましい。
 ・気遣い:相手に反対給付の義務感を負わせないような小規模の贈与。気遣いを積み重ねることは関係を促進する。
 ・会話は感情の表出であり、人間が発するメッセージは願望的解釈が事実として発言されることがある。客観性を重視するなら、二分法的表現を排除し、数値に直して表現するとよい。
   ▼争いの管理スタイル
 ・競争のスタイル:資源不足を原因とし、限られた資源を巡って勝者か敗者になる。このスタイルをとる人は自分が敗者になるとは思っておらず、自分のやり方を貫く。このスタイルの欠点は、必ずしも最善ではない解決策が選ばれ、しかも相手に負債的交換を与えること。また短期的には勝者になったとしても、そこには高い代償が随伴することがある。
 ・迎合のスタイル:二人のうち一方が非主張的であり、関係上の問題を直視しないでおこうとする。自らをだまし、相手の言うことに従い、不安や恐怖など無いかのように振る舞う。両者とも問題を避けるか、一方が常に他方に道を譲ってしまう。
 ・協力のスタイル:どちらも他方に対して自分の欲求を押しつけず、二人の関係にとっての利益をできるだけ多くし、コストをできるだけ減らすよう努める。また自分自身の問題にも、お互いに相手と一緒に立ち向かおうとする。お互いに相手の正確な「姿」を知覚し、否定的な誤った知覚を避けようと努力する。相互の尊敬の上に成り立つ。


社会作用定義
   ▼属性
 ・属性:資本の量、階層や文化、価値観、所属している内集団の特徴、など。
 ・属性の判断:見た目や振る舞いなどの印象から、相手の属性をステレオタイプ的に判断した後、自らの態度を決める。 多くの場合、この態度の良し悪しが、相互に返報される中で評価が決まる。 関係を改善するには情報交換を充実する必要がある。
 ・われわれの関係は、おたがいについての相互の知識にもとづいて発展し、さらにこの相互の知識は、事実上の関係にもとづいて発展する。
 ・役割現象:人は、「男として」「女として」「店員として」「患者として」他者を見る。相手を「店員として」見ると同時に、自分を「客として」見るというように、類型化は自他相互に生じる。
 ・アイデンティティ:自分が何者であるかを、自分に語って聞かせる逸話であり、その現実化において他者の承認を必要とするもの。 アイデンティティは特定の社会的文脈において承認される。
   ▼解読コード
 ・コミュニケーションの現実的な意味を決定するのは「送り手の意図」ではなく「受け手の反応」である。だから、受け手のもっている解読コードを理解することが重要である。解読コードは受け手が所属する「下位文化」に影響されている。
 ・例)「暴力のサブカルチャー」を学習した者の特徴
  ・直面した問題を暴力によって解決しようとする。
  ・他者が主観的に意図していなくても、注意したり怒鳴ったり悪者のレイベリングをすることは、「挑戦」として受け取る。
  ・しかし、暴力は「挑戦」されればただちに発せられるわけではない。暴力行為が現実化するには、相手に勝てるかという合理的な判断と、相手や警察などの統制者からなされる反応を計算してからである。もちろん不利とわかっていても暴力行為にいたる「感情暴発」の場合もある。
   ▼スティグマ
 ・ある特定の特徴がスティグマを生むのではなく、その特徴に対する周囲のステレオタイプな否定的反応との関係がスティグマという現象である。老一般が日本社会でスティグマになるのは、日本社会が老いの積極的意味をみいだしていないため、老いに対して周囲が否定的な反応しかできないことによる。大卒という属性も、おかれている集団によってスティグマになる。差異や有徴性はあらかじめ存在するのではなく、排除のために、そのつどあらたに発見され、つくられることもある。よってスティグマ(有徴性)は、ヴァルネラビリティ(攻撃誘引性)でもある。有徴な項が析出することによってはじめて、その他大勢が「普通」として定義される。
 ・何が「キモい」「ダサい」とされるかは集団によって異なる。
 ・スケープゴートの排除は集団に連帯感とカタルシスをもたらす。高エントロピーな集団ほど排除への動機は高まる。
   ▼嘘
・嘘の基本的技法は、相手の聞きたがっていることを語ることである。
・もっともばれにくい類の嘘は、自分自身でそう信じているときの嘘や、相手が信じたがる嘘である。
・お世辞や追従は社会の潤滑油として機能する。
・うそは、うまくいったときには力をもたらすが、失敗したうそは力を大きく減退させる。持続的な関係では嘘がばれるリスクが高くなる。
・嘘は権力構造の維持に役立つ。
・権力に従う人間は、ある程度までは、慎重に管理された情報によって支配される。政府、宗教組織、企業その他の権威を有する社会組織は、真実のための原則(道徳律)を確立する。
・権力の座にある者のつく嘘は組織の利益のために必要なものとして正当化されるが、普通の人がつく嘘は組織にとって有害なものとみなされる。
・信頼とは必ずしも相手がつねに真実を語るものと信じることではない。人間関係における信頼とは、信頼する相手(人間または組織)が自分に危害を加えることを避けようとするはずだ、と信じることである。 真実は相手の自負心や幸福感を破壊する武器ともなりうる。




Method relate


関係促進要因
 ・自分が相手に興味と関心をもっていること
 ・自分は相手に脅威を与えるつもりがないこと
 ・自分は相手にとって否定的な人間ではなく、報酬を与えるタイプの人間であること
 ・自己開示のレベルを相手と同等に合わせる
 ・自己を許容し、他者を許容すること
   ▼浅い関係における安全な会話
 ・自己論述:「やあ、私は~です」「ここに来るのは初めてなものですから緊張しています」
 ・何か申し出る:「何か飲み物はいかがですか」
 ・基本的情報の交換:「ここには何で来ましたか」「どんな分野のお仕事ですか」
 ・その場に関連したコメントと質問:「私はこういう天候が好きです。あなたは?」
 ・お世辞と質問:「あなたのドレス、本当に気に入ったわ。どこで手に入れましたか」
 ・相手の話を促す:「それはおもしろい」「はっはー」「本当?」「もっと話してください」
   ▼会話の流れ(話すー交代するー聞く の連続)を保つ方法
 ・報酬を与える聞き方(反射、開いた質問、相槌、興味を示すボディメッセージ、きっかけ作り)をする
 ・相手の話を引き延ばすために質問する
 ・自分自身のことを話すための話題を持つ
   ▼対人における葛藤や緊張の対処
 ・マインドフルネスで緊張を和らげる
 ・メタ認知を正す(アクセプタンスする)
 ・関係することの価値推論
 ・身だしなみを整えることは他者と関係する際の自信のなさを抑制する。
 ・事前の会話イメージや話題の用意は、実際の対人場面での円滑な行動化を促進する。


関係阻害要因
 ・会話内容に関する指図や先導
 ・判断や評価、非難
 ・相手の感情を受け入れない(そんなに悲しむべきではない、なぜ喜んでいるか分からない、などと言う) ・相手の話を遮って自分の話をする
 ・尋問する、秘密をばらす、信用を失う
 ・自己弁護をする
 ・2人のうち一方と仲良く会話できるほどに、もう一方の人の態度がきつくなる場合がある。選択されなかったという圧迫感が生じている可能性があるので、気配りをすることが関係を促進する。
 ・自己と他者の価値の比較判断は、優劣の競争関係を生じ、相手に対する気遣いや尊敬を阻害する。
 ・人と話しているときに自我関与に陥ると、「許容しなければ」とか「リフレーミングしなければ」などとあれこれ考えて緊張し、逆に失敗しやすい。リラクセーションと自己肯定が成功に繋がりやすい。
 ・ナルシシズムに溢れたメッセージは、他者に不快感を与える。
 ・言語メッセージと非言語メッセージの不一致、ダブルバインドは他者に不安を与える。












他者への怒り対処
   ▼社会集団の高エントロピー低下
 ・高エントロピーの環境は、スティグマを背負った他者に対する怒りを発生させる。スケープゴーティング以外の方法で低エントロピー性を獲得する必要がある。
 ・集団のエントロピーを低下させるには、問題の特定と、現実的な対処が必要となる。
 ・スケープゴーティングのための怒りを防ぐには、自分の問題を自ら解決へと導くこと、集団の問題を特定して個人に責任を負わせずに解決へと協力すること、が有効である。ここにおいても目標表象の具体化が必要である。
 ・スティグマをリフレーミングし、肯定的意味を発見する。
 ・他者との協力の目標表象形成を行う。他者との望ましい協力関係をゴールとしてイメージする。
 ・課題の達成による低エントロピー性の回復は、他者への怒りの鎮静を促進する。
   ▼怒り緩和のイメージ法
 ・まず最初に、リラックスする視覚イメージを2分ほど見る。
 ・相手をはっきりした「絵」として思い浮かべ、その人にとても良いことが起こったところを思い浮かべる。愛情、注目、お金などを、その人が受け取っている様子をよく見る。
 ・こちらが怒りを感じている状況を、相手の観点でイメージする。
 ・自分が相手になにか良いことをしてあげている様子を見る。
 ・相手が自分に何か良いことをしてくれている様子を見る。
 ・相手の好ましい特徴を思い浮かべる。
 ・自分が相手に、「二人の関係を大事にしたい」と言っている場面をイメージする。












関係調整要因
   ▼歪んだ他者認知の改善
 ・自分が相手に期待している他者像を言語化し、それが非現実的でないか検討する。
 ・「相手は~すべき」、「相手が私を怒らせる」などの信念に反論する。
 ・情報を集める:相手にもっと興味をもって適切に質問し、相手に関する情報を拡充する。
 ・外的文脈の理解:相手の行動に影響を与えてきた過去の要因について知るようにする。家族や親戚からどんなルールや志向性を受け継いだか、関係の外側にある職場のストレスなどはないか、など。
 ・知覚の誤りを修正する:相手の否定的な行動を強調したり誇張していないか自問する。
 ・相手の知覚をチェックする:相手が自分自身の行動をどう見て、どう解釈しているか確認する。
 ・相手の立場になる:相手が争いやこちらの行動をどう見ているか、理解しようと努める。
 ・今までとは違った行動をする:人は一般に、否定的な行動には否定的に返し、肯定的行動には肯定的に返す。いままでと違った行動をとれば、自分の行動に原因があったかはっきりする。
 ・競争的態度を捨てる:勝ち負けのつもりでいると、相手を否定的に見る事に関心を持ってしまう。
   ▼行動の依頼
 ・協力的な気持を前提とする
 ・タイミングに注意を払う
 ・「私」メッセージを使う:依頼の主体を自分自身に置く。
 ・具体的に言う
 ・肯定を使う:相手の肯定的側面についても言及し、こちらの依頼を和らげる。
 ・肯定的な依頼をする:して欲しくないことを言うよりも、して欲しいことを言う。
 ・できるだけ非攻撃的な言葉で表現する
 ・音声メッセージとボディメッセージに細心の注意を払う
 ・聞くスキルを使う
 ・FERメッセージを使う:
   F(どのように感じているか)
   E(なぜそう感じるか説明し、相手の否定的行動を明かす)
   R(相手の否定的行動をやめるか、少なくともその行動の意味を説明するよう依頼する)
 ・圧力はできるだけかけない:圧力が大きいほど相手の抵抗を生み出す可能性が増える。
 ・相手の防衛的態度を処理する:
   相手の否定的な反応の後、しばらく間を置いて、冷静かつ断固として再び依頼する
   依頼を繰り返す前に、相手の感情を反射させてみる
   もっと断固とした声で言ったり、言語メッセージを強めたりして圧力をかける
   お互いが受け入れられる解決策を求めて、交渉する
   ▼争いの管理
 ・自分の感情、思考、行動は自分の責任であることを確認する
 ・争い解決のための代案を作る
 ・場合によっては自分から折れる
 ・争いの原因を相手に求めず、相互作用や事象に帰属する
 ・過去に受けた苦痛の復讐を重視せず、未来志向になる
 ・「人間関係の中にある問題や相違は解決できる」ということを確認する
 ・相手に対してとる行動がどんな結果を招くか考える
 ・自己と他者を競争関係で考えず、協力関係で考える
 ・関係に対して責任あるイニシアチブをとることが、関係の変化を促進する。
 ・協力して争いを管理するための枠組み CUDSA
  1.争いを直視する
  2.お互いの立場を理解する
  3.問題を定義する
  4.複数の解決策を探し、それを評価する
  5.最善の解決策に合意し、それを実行して、評価する



   ▼攻撃的批判の対処
 ・反射
 ・分散:攻撃的な批判の一部を認めることで、批判の勢いを削ぐ。
 ・質問:反射か分散を用いた後、「私がしたことのどこがまずかったのか、もう少し詳しく言ってくれませんか」というように質問する。攻撃性を弱める働きと、誤解を解く情報を得られる働きがある。しかし、自分の怒りの原因を具体的に尋ねられると、脅威を感じて怒りが増す人もいる。
 ・フィードバック:相手の批判を聞き入れる態度を示した後は、批判内容と批判の仕方について相手にフィードバックを与える。例えば「そんな刺々しい言い方で批判されると不愉快だな。僕が迎えに来るのが遅くなったのは、車がパンクしたからだ」など。相手はこちらを言い負かそうとすることがあるが、そのときは相手の感じ方を認めつつも、冷静に自分の立場を繰り返し述べることだ。
 ・延期:批判をいったん聞いておいて、後日、批判に対応するというやり方。
 ・他者の負債的交換に反応する前に、脱フュージョンすること。
   ▼パワー・プレイの対処
 ・まず「相手がこちらの欲求を無視して操ろうとしている」という意図に気づく必要がある。気づいた後は、いくつかの選択肢がある。
 ・服従:相手の意図や操作に黙って従うこと。
 ・反撃:攻撃的になり相手との緊張を高め、反撃すること。
 ・主張:冷静に断固として自分の立場や状況を説明し、主張的になること。
 ・回避:相手が人を操ることに長けている場合、相手との関係から抜け出すこと。または権力的な第三者に仲介を依頼すること。


関係操作要因
 ・周囲の反応や意見の操作(やらせ)は、確信が持てない場合、同調行動を促進する。
 ・相手への好意や類似性の強調は、こちらへの好意を促進する。
 ・権威、権力者の指示は、疑問を持たせずに服従行動を促進する。
 ・希少であると言ったり、禁止や制限を設けると、価値の上昇として解釈させうる。
 ・一貫性を保つことは、社会から評価されるので価値をもつ。
 ・後で要請しようとしている行動と一貫するような立場を取らせる誘導は、一貫した行動を促進する。
  例:相手が認めやすい提案をして、それに承諾したら次々とオプションを要求していく